内容説明
不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
387
何これおもしろい!自分の今年1位かも。「死」という一貫したテーマで、政治・警察・一般人・テロリストなどの要素の考えが各要素に絡み合って繋がり、自分だったらどうか、と揺さぶられ考えさせられる。「老い」がないのはいいけど「死」がないのは、死ぬまでは頑張ろう、と期限が無くて、ダラダラ過ごしそうで個人的には嫌。こんな近未来、リアル。「「母はHAVIそのものに、嫌悪感を持っていたみたいです。老いて衰えて死んでいく。人間の身体がそういうふうにできているってことは、そこになにか意味があるはずだって、よくいってました」」2021/01/08
青乃108号
300
人間が老いる事なく100年生存出来る様になった日本で、100年を超えた時点でその者は人権を失い、処置、即ち死ななければならないと定める100年法を巡り政治、医療、貧困、そしてテロなどあれやらこれやら描かれ退屈しない。処置を受けるセンターの様子も詳細に描かれるがあくまで淡々とした筆致で。政治の分野では大統領制が敷かれ、独裁体制となってしまった中で、クーデターを狙う動きも現れ、医療面では原因不明の多臓器同時発ガンが問題視され、テロ組織の存在が明らかになり…ようやく半分。ちょっと気が遠くなってきたんだけど。2024/01/08
にいにい
151
初山田宗樹さん。タイトルから、何故か宗教の本だと思い込んでいたため、文庫になってから初めて手に取った。何でだろう法を法律の法だと思わなかった。こんな面白い本を見逃すとは、、、、。老化しない方法が出来たという想定がいい!それにより社会が、政治が、人生が、どう変わるかのシュミュレーション。国際関係の取り込みが弱いと感じたが、それ以外は、凄く面白い。生は、死があることで意味がある。それを、この不老が前提になった世界でどう扱うのか?下巻も楽しみ。2015/04/10
ケイ
141
読友さんに紹介頂いた本。高齢化社会に対して医学の進歩を用いて100年の若さを手に入れられる百年法。誰しもその時は100年なんて半永久みたいに思えるのじゃないかしら。疑問とか矛盾とかチラつく暇なく上巻終了。感想は下巻へ。2019/11/12
インド
139
100冊まであと7冊!大戦後不老不死社会を実現した日本共和国。しかし円滑な世代交代のために、国民は手術を受けてから100年後に死ななければならない。この百年法を巡る物語は様々なアクターの視点から描かれており、百年法を肯定するものと反対する者、それぞれの葛藤が盛り込まれていて、とてもハラハラする。百年法による親子の別れのシーンは心に響いた。永遠に生かされることは、人間として一番過酷なことかもしれないなー。そして、国民はどのような決断を下すのか? 政治家・官僚・テロリストの思惑が交差する物語は次のステージへ!2017/03/04