出版社内容情報
恋人、親子、夫婦、家族……日常の何気ない生活の中に起きる奇跡と絆。
平凡でつまらないと思っていた康彦の人生は、妻の死で急変。喪失感から抜けだせずにいたある日、康彦のもとを訪ねてきたのは……。身近な人との大切な絆を再発見し、ふたたび前を向いて歩き出すまでを描く感動作!
内容説明
妻を自殺で亡くしたシングルファーザー、恋人から突然別れを切り出されたOL、不況に苦しみ、鉛のような心と身体をもてあます会社員…思うようにいかない人生に、苛立ち絶望しながら、それでも新たな一歩を踏み出そうとする勇気。苦しんでも、傷ついても、人は夢見ることをやめられない―。平凡な日常に舞い降りたささやかな奇蹟の瞬間を鮮やかに切り取り、かじかんだ心に血を通わせる感動の短篇集。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れる真珠』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
97
とても爽やかで素敵な短編集でした。等身大の人たちの話なので、凄く感情移入してしまいました。挫折もするけれど、そこから新しい第一歩を踏み出そうとする姿に感動します。大きな出来事は何もないけれど、些細なところから再生をしていくのが良かったです。日々をほんの少し丁寧にしていこうと思わせてくれる、そんな一冊でした。2015/11/24
りゅう☆
63
妻を亡くした夫、息子の障害から逃げた父、同棲中の恋人に別れを言われたOL、退職後に何度も試験に挑む夫、契約社員の自分のことで精一杯の女性、ADHDの息子を持つ母親、ストレスで会社に行けない男性、この会社でいいのかと悩む男性、海に骨をまく女性と出会った男性、若年性アルツハイマーの夫と生きる妻、焚火を熾すボランティア、更年期障害の妻に栄養失調の出戻り息子とリストラ危機の夫。悩んで傷ついてる状況だけど、ふとしたきっかけで一歩踏み出そうとする人たちの話。起承転結の展開にアッサリ感あるがエールを送りたい思いになる。2023/12/21
のり
63
12話からなる短編集。人生色々な事がおきる。浮き沈みがころころと入れ替わる。この困難にぶち当たった時に人はどう対処するのか?それで先が大分変わる。決して簡単な事ではないが、変わる時期がきたのかもしれない。人はそんなに強くはないが、弱くもない。そんな思いを突きつけられた。「ツルバラの門」と「銀のデート」が特に好みだった。2023/11/23
kei302
61
「再生」をテーマにした短編集。直接当人から話をきき、小説に仕立て直したものが半分と「あとがき」に記されている。65歳PLEYMASUTER磯谷さんと焚き火を囲む人たちとの交流を描いた『火を熾す』、穏やかな時間の流れが心地よかった。本筋に関係ないけど、― その日、冒険広場につくられた炉はみっつだった 昼すぎに母親たちのグループがやってきて ちいさな焚き火を熾し 割り箸の先に刺したマシュマロを焼いてたべていったのだ ― 漢字とひらがなの配分も考えて綴られているのかな。温かみがある。2023/02/24
汐
61
何処にでもいるような等身大の人々が描かれています。大人でも子どもでも、この世界で生きていけば、誰しも傷を負う。そんな世の中に対し、不満や敗北感、劣等感を感じるなかで微かに光る希望がある。大切な人がその希望を喜び、大きくしてくれる。だから人は夢見ることをやめないのだと思う。社会で上にいることだけが全てではない。例え負け犬だったとしても、きっとそこから繋がるものがきっとある。そう信じていたい。希望に向かう沢山の人生や生き方が詰まった一冊です。2016/02/28