内容説明
戦後七十年の特別企画として、これまで「月刊文藝春秋」やその増刊に掲載された戦争体験者の手記や記事を再編集、戦後レジームからの脱却が叫ばれるいまあらためてあの戦争とは何だったのかを考えるシリーズ全四巻。第四巻では、なぜ日本が太平洋戦争へと至ったのか、満州事変、五・一五事件、二・二六事件とナショナリズムの高揚が軍部を暴走させていくさまを、当事者たちの告白も交えながら、明らかにしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レモン
5
満州事変から五・一五、二・二六事件など勉強不足分野ばかりだったので、文字を追うだけでちんぷんかんぷんな章も。柳家小さん師匠の話や日支青年座談会、東京裁判で乱心された民間人のA級戦犯の章などが面白かった。真実がどうなのかはわからないが、排日を煽られた民間中国人や、ニ・二六事件の首謀者に陥れられた真崎大将など、誰かを袋叩きにしている時は何か裏があるということを覚えておかなければならない。もうそろそろ殺伐とした読後感に疲れたし、現代の文体が恋しい。2021/08/28
CTC
2
文藝春秋が戦後70年にあわせて企画したシリーズの第四弾。今上陛下は「満州事変に始まるこの戦争の歴史を〜」と年頭に仰った。“あの戦争”を真珠湾に始まる戦争と捉えてしまうと、“失敗の本質”から目が逸らされてしまうし、メディアはとかくハデな対米戦にフォーカスしがちだから、陛下の御言葉には強い感銘を受けた。 さてこのシリーズの「太平洋戦争の肉声」というタイトルだが、やっぱり真珠湾以降のお話限定(第一弾が山本五十六だからね、商業主義的な匂いも)、と感じてしまった。ゆえにスルーしてきた訳だが。。いやいやこれは好企画。2015/05/21