内容説明
古い歴史と街並と親しい友人との憶い出が重なる、懐かしい都会、巴里――『どくとるマンボウ航海記』時代のパリを舞台に、若き日に思いをはせる表題作。山岳小説の傑作『白きたおやかな峰』で描いたカラコルム――その地を二十六年ぶりに再訪し、参加した登山隊で出会った心優しき案内人を探し当てる「カラコルムふたたび」。二つの旅の記憶が走馬灯のように甦る、詩情溢れる二編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぺぱごじら
19
初めて読んだ氏の本は『怪盗ジバコ』、そして初めて旅行記に心躍らせたのは『どくとるマンボウ航海記』、そして初めて氏の繊細な筆致に触れた長編が『白きたおやかな峰』。全て大学時代のことでした。あぁなんか本文を読みながら、あの頃の自分のことばかりが浮かんでくる(苦笑)。2014-1782014/10/28
蛇の婿
16
うーむ。なかなか未消化な読後感。北杜夫さん独特の文章センスもあまり感じられず、モヤモヤとしたものが胸の中に行き場無くわだかまっているような感じです。これは私が『若き日の友情』も『白きたおやかな峰』も読んでいないせいなのか、おそらくはこの2篇のエッセイの共通のテーマである『喪失感』についてピンと来ていないせいなのか…川端康成の『山の音』に通ずるものがあるのは十分感じられはするのですが…これもっと私が年取ってから再読するべきなのかもしれません…2015/01/15
双海(ふたみ)
11
字のポイントが大きくて読みやすいですね。ありがたいことです。2014/09/27
きりぱい
8
マンボウ航海記の頃が偲ばれるパリでの話。周りは気まずいだろうけれど躁期の時はほんと変にエネルギッシュで好きだなあ。夢なのか現実なのかこっちまでぼんやりと読んでしまう。「カラコルムふたたび」は反対に鬱期。メルバーンへの再会にむけて気分を保っていたのに、盛り上がると思いきや時間の経過というか熱量のずれというか現実が逆に切ない。2017/02/16
Megumi Ichikawa
7
どくとるマンボウこと北杜夫さんは、躁鬱病であるのか、と驚き。題名につられて購入したが。旅の記憶が走馬灯のように甦るーとあるが!パリを訪れるたときは、躁病だったことや自分が乞食同様になってしまったことなど、理解不能の文章もある。セーヌ川、ルクサンブール公園、カルチェラタンなどの単語が出てくると懐かしくなった。2014/10/13