内容説明
備中高松城を水攻めのさなか本能寺の変を伝え聞いた秀吉は、“中国大返し”と語り伝えられる強行軍で京都にとって返し、明智光秀を討つ。柴田勝家、徳川家康ら、信長のあとを狙う重臣たちを、あるいは懐柔し、あるいは討ち滅ぼすその稀代の智略は、やがて日本全土の統一につながってゆく。常に乱世の英雄を新しい視角から現代に再現させる司馬遼太郎の「国盗り物語」に続く戦国第二作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
343
司馬遼太郎の数ある作品の中でも(とは言っても未だ全部読んだわけてはないのたが)傑出して面白い。やはり司馬の秀吉に対する尽きせぬ興味と親近感がもたらす故であろうか。全篇の結びに秀吉の辞世を置くのも実に気が利いたエンディングである。「露と置き露と消えぬるわが身かな 浪華のことは夢のまた夢」―まさに秀吉の波乱万丈の一生を象徴するかのような辞世である。また、家康を臣従させ(しかも、それとても大芝居を打って)、文字通り天下人となった、その夜、寧寧と共に殿舎に籠り、掻餅と煎り豆で祝うという心憎いばかりの演出は、⇒2026/02/26
ehirano1
186
秀吉の陽気で利他的でポジティヴ思考はもはや天下無双レベル。「・・・あの男(=信長)を輔け、命を賭けてあの男のために働き、あの男を押立てることによって我が身の運を拓くべきだろう・・・」、「官兵衛、世の事は全て陽気にやるのよ」が心に深く刻まれ、このフレーズをなぜだかとても大切にしたい気持ちになりました。2026/02/14
優希
140
本能寺の変から天下取りまでの過程を描いていきます。信長の死の知らせが秀吉の天下取りの第一歩になったのかもしれません。光秀を討ち、秀吉はどんどんその力を広げていく。信長の後を狙う重臣たちをその出方によって臨機応変に対応する秀吉は、無駄な殺生をせずにその勢力を広げていったと言ってもいいでしょう。その手腕は天才的なものがあり、天下統一を成し遂げるのも納得がいきます。智略が為し得た天下統一。天下統一後から死までを描かず、辞世の句で締めくくるのが何とも言えない後味を感じさせました。2017/01/20
とん大西
128
何気に作中の一文です-「秀吉指揮下、彼ら(諸将)の正義と実利が、きわどいところで融合していた」…。信長死後、柴田勝家と跡目を争っていた秀吉。天下の行方はいかに。秀吉、勝家、彼らの将兵、そして旧織田軍諸将。疑心暗鬼と期待と不安。時代の分岐点に佇む人々の空気が端的な言葉で映し出されているようで感じ入りました。秀吉は天下人となった。偶然を必然にする精神力。時代の空気を観る心眼。もはや英雄というより特異な現象。人々は「熱狂」したのでしょうね、秀吉という「現象」に…。最終章タイトル「狂言」がグッと腑におちます。2019/02/17
金吾
117
○最後まで魅力ある秀吉でした。企画力が飛び抜け、かつ計算され尽くした底抜けの明るさをもった秀吉を凄く好意が持てる人として見事に表現されていると思いました。このあとの暗い秀吉の時代に触れず、辞世の句のみだったのは良かったです。2020/03/24




