内容説明
歴史を学ぶとは、史実や年号を暗記したり文献を漁ることではない。過去の人々の息遣いを感じ、喜び、悲しみを共に味わい、それを現在の自分たちの生活の中に生かし、未来を展望することである――。折口信夫、西田直二郎に学び、爾来六十余年、「生きた歴史学」を目指し続けた著者が自らの研究史を振り返り、その真髄を伝授する。 ※新潮選書に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
15
著者は東アジアを視野に日本古代史を研究し「渡来人」という言葉を教科書に定着させた碩学。そんな著者が自分の研究史を振り返りながら古代史における史料との向き合い方を伝える入門書、というにはがっつり著者の問題意識と取り組んでいて遺著と言いながらまだエネルギーをびしばし感じる一冊となっている。折口信夫の直弟子ということもあり今の古代史研究の見地からその問題意識を批判的に受け継ぎ、多くの古代史学の偉人の説と真正面から取り組んで今に通じる論点を導き出すという点においてこれ自体が生きた古代史研究史の結晶なのかもしれない2020/11/24
謙信公
12
前著『私の日本古代史』は古代史の流れを時間軸で概観する構成だったが、本書では考古資料、文献史料など横軸の方法論的な内容となっている。折口信夫、西田直二郎に学び、「いかに日本古代史を学ぶか」というよりも「いかに日本古代史を学んできたか」を自らの研究史を顧みて、文字史料による単なる古代史ではなく、考古学の発掘成果や民俗学の実りを総合した古代学を「後学への遺言」として伝授する。歴史を学ぶとは、過去の人々の息遣いを感じ、喜び、悲しみを共に味わい、それを現在の自分たちの生活の中に生かし、未来を展望することである 。2024/08/30
fseigojp
7
やはり森浩一のほうが面白い2024/10/25
さとうしん
5
日本古代史学入門というよりは、著者による研究史の回顧という側面の方が強い。(期待した出口王仁三郎との関係についてはまったく言及されていないが……)著者が強い影響を受けたとして挙げる人物の一人に折口信夫がいるが、折口信夫の学問というのは、日本古代史の分野においても非常に扱いが難しいというか、扱いに困っているのだなと感じた。あとは、京大在学中に貝塚茂樹と三品彰英の講義も受けたというのが興味深いところ。2016/03/27
check2012
4
いろいろな日本史の課題、疑問点が、 しっかり書かれていて、大変共感を得ました。柳田国男、折口信夫、平田篤胤など、取り組みたくなりました。2015/01/11