内容説明
仏教の原典を求めて、1900年当時厳重な鎖国をしていたチベットに、困難を乗り越えて、単身入国・帰国を果たした河口慧海師の旅行記です。最高の旅行記かつ、生活・風俗・習慣の的確な記録として、チベット研究の第一級の基本文献です。『西蔵旅行記』(1904、博文館)を底本とし、挿絵も全点収録しています。また、改訂版(1940年)と英訳本(1909年)も参照し、完全な形になっています。(講談社学術文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
28
長年積んどいた本。かなり昔に尊敬する大先輩に勧められた。感想は下巻で。2022/09/18
Toshi
27
4月のネパール行以来、関連本を読み漁っているがその中でも古典にあたるのが本書。明治33年、たった一人で当時鎖国中のチベットに経典を求め旅した日本人、河口慧海の旅行記、と言うかもはや冒険譚である。埋もれていた氏の功績と本書は、文化人類学者の川喜田二郎氏(本書の序文も書いている)らにより、広く知られることとなった。本書は1967年に、原文を現代語訳の上出版されたもので、とても読み易い。上巻で既に目的地であるラサの一歩手間まで至るが、到着後もまだ波乱がありそうである。2025/06/18
みなみ
19
チベットに単身入国・帰国した河口慧海師の旅行記。旅立つまでの日本でのひと悶着もありつつ、旅行中での苦難をよく乗り越えたと驚き。一歩間違えれば命を落とすような場面が何度もあり、このように記録として残っていることに感謝。2020/04/06
eihuji
14
1月頃読了。夢枕獏「キマイラシリーズ」で本書の存在を知りかれこれ四半世紀。機会があればいつか、のいつかがやって来た。河口慧海の語りを掲載新聞社記者による聞き書き形式。それだからかどうか、リアリティに修飾的なものが散見されるような無いような。虚実入り乱れながらそれでも明治30年頃に単身チベットへの密入国を思い立ち実行する慧海の情熱に脱帽。2019/11/10
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
9
目的と身分がバレそうになり、また雪山で水も食糧もないまま進退窮まって凍死寸前になり、それでも何事もなかったかのようにまた前に進む。学んで説法をして病気を診てやる。金も荷物も欲しいならやるから持って行け。命を長らえさせるのは、昼までに食べる麦こがしとバター茶だけ。餞別は要らないから、その代わりに煙草と釣りを止めろ。・・・河口慧海、あんたスゴい坊さんだね。あんたの話を、いつまでも聞いていたいよ。2023/08/10