内容説明
そこは、蒸機と神秘、怪人の街。
時は1961年、アメリカ。
正体不明の霧・ミアズマによって発展した街ビザーバーグは、蒸気天国の異名をもつ世界有数の工業都市である。そこでは、ミアズマを重蒸気に変換し動力源としたクラフト技術が発達し、ミアズマの影響で超能力に目覚めた新人類《ミスティック》や、体細胞の変質を遂げたクリーチャーなどが跳梁する“何でもあり”の街として名を馳せていた。
ビザーバーグで何でも屋を営むスチームシーカーコンビ、《奇術師》ニコラスと《真鍮男》ザジは、あるとき怪しげな探偵の依頼を受ける。それは、かつて世界を闇に陥れた悪の秘密結社《ディスコルディア・リーグ》に関わる、とある男を保護することだった。だが、男の確保に乗り出したとたん、ディスコルディアの遺産を狙うマフィア、世間を賑わすクラフト犯罪者とぶつかり合うことに。さらにはビザーバーグ市警や、この街を守る正義の少女ミスティック・チーム、《トライデント》まで動き出し――！？
いま“夢の街”を舞台に、盛大で壮大なバカ騒ぎが幕を開ける！
第8回小学館ライトノベル新人賞にて“優秀賞”を受賞、怪人跋扈のスチームヘヴン・ファンタジー！！
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
53
著者がこだわっているほどスチームパンクらしさはあまり感じなかったが面白い世界観が出来上がっているのであり。ガジェットを詰め込みまくって濃厚すぎる味わいも好み。ザッピングを駆使した語り口はアクの強いキャラクターが続々と登場する前半は効果的で良いが、後半はストレートな盛り上がりを阻害してしまっていて残念。あと各人物の行動言動が成田良悟ばりにもっと弾けていれば面白さが数段上を行ったかも。とは言えわりと気に入っているので続刊なりまた別の新作が出たら読んでみたい。2014/08/07
まりも
20
ガガガらしいスチームパンク。世界観、キャラは作品の雰囲気に合っておりとても良いんだけど文章の方が分かりにくくイメージしにくいのが難点か。群像劇として話を進めるのは良いんだけど視点が飛び飛びになるせいでとっ散らかった感じになったのが残念です。新人さんなので文章の欠点さえ直したら非常に面白い作品に仕上がりそうだしこれからに期待しましょう。2014/07/23
ymartak
17
スチームパンク色濃厚な世界観の中、アベンジャーズやタイバニを思わせる複数ヒーローが活躍する爽快な物語。途中、視点が頻繁に切り替わるのがやや読み難く感じたが、多くの登場人物を描き分けつつハリウッド映画的な盛り上がりをみせるストーリーに落とし込む手腕は見事で楽しめた。2014/08/07
sibasiba
16
1961年のアメリカを舞台としたスチームパンク。蒸気天国の異名を持つビザーバーグを舞台にクラフトと呼称される蒸気機械を駆使するスチームシーカー達が怪人やマッドサイエンティスト相手に活躍する冒険譚。超能力者も活躍する設定はXメンなんかのアメコミを思い出させる。群雄劇なんだけど適切に機能してない印象。キャラは好みだし悪くない。しかし二度の大戦を経ているらしいのにドイツに皇帝いるからナチスは存在しないよなとか、ロシアも帝制だし中華帝国が存在し大日本帝国は内乱があったなんてどういう歴史なのか背景世界が興味深い。2015/11/22
1_k
12
荒削りな部分はあるが、ガガガらしいスチームパンクのデモンベイン風アメコミ仕立て。忍殺が好きなら十分行けるんじゃなかろうか。雰囲気造りが一貫しているので、非常に作品としてのまとまりが良いい。構成も普通のラノベっぽくなくて、アメコミにありそうな見せ方。私は好きです。例外的な忍殺はともかく、旧来のラノベレーベルでこういうアメコミ風の作品も出うると分かったのは収穫です。こんな作品、もっと増えてほしいな。2014/07/25
