内容説明
きわどく、美しく、切ない百合物語をどうぞ。
独立国・千葉王国の国王はいたいけな21歳・陸子。私は、彼女に仕える護衛官・光。15歳の緋沙子が新しくお側仕えに採用されたことにより、私と国王の愛の生活は壊れはじめた…。人気作『どろぼうの名人』続編!
※※この作品は廉価版です。廉価版にはイラストが入りません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
竹花 樒 - Shikimi Takehana
6
前作「どろぼうの名人」にも増して凄まじい作品だった。ここまで「百合」を深く考えたことはなかったなぁ。百合の根源にある本質としてどろぼうの名人が「停滞」という要因から百合を形作っていたのに対し、本作では愛情への飢えから来る「孤独」から形作っていた。「孤独」の反証としての包括的な「家族愛」を通して百合を描いたわけですね。言わば王室とは家族であり、陸子にとっての緋沙子は子供の頃の自分自身。そこに二人を誑かす光が現れ――”子供の頃の陸子”、”母親になった陸子”、”光”の三者が織り成す濃密で淫らな百合が圧巻でした。2009/04/13
Hammer
5
中里十という人は本当にワンアンドオンリーな作品を書く人だと改めて実感。とりあえず百合モノではある、でもそれだけではとても言いあらわせない物がぐるぐると渦巻いている。きれいなものを組み合わせていったらいつの間にかすごい怪物が出来上がったようなというか。しかしその怪物はグロテスクなのにきれいで儚い。本作も美しくて恐ろしい、儚くてたくましい、鋭くてやさしい、そんな矛盾する感覚が湧いてくる。でもその矛盾は全体としてはまとまっていて、美しく巨大な構造物を作り上げている。そんなみごとな一冊。あとわりとエロいよ。2011/01/12
とめこ
4
圧倒されてしまった。どろぼうの名人で出てきた独立国『千葉国』の国王陛下・陸子と、その護衛官である光を中心とした濃厚な百合物語。どろぼうの名人よりもさらに生々しく濃厚で淫靡な雰囲気でした。ちょっと心理描写が分かり難かったかな。千葉の情勢とかも読んでるうちに分からなくなってしまった。個人的にはどろぼうの名人の方が好きだけど、こっちのドロドロの主従百合も良かったです。イラストの陸子さまがとてもかわいらしくて良い。2016/03/16
タナカ
4
目眩がする程の濃厚な官能描写、心理描写に作者の本気を感じ、15分に1回は興奮した。下手に公共施設では読めない。時折文章の稚拙さが伺えるのが残念。官能描写を読みたいという気持ちが逸り、ストーリーはざっくりと理解したものの結構な割合を読み飛ばしてしまった。心理描写も把握し切れてない部分が結構あったから、時間があれば再読したい。2012/12/29
ろびん
3
面白かったけど滅茶苦茶疲れた……。2020/02/15