小学館文庫<br> 斬奸状は馬車に乗って 時代短篇選集2

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小学館文庫
斬奸状は馬車に乗って 時代短篇選集2

  • ISBN:9784094088045

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内容説明

幕末明治期の短篇を集成したシリーズ第2弾!

幕末から明治を舞台に描いた山田風太郎の名短篇を集成する作品集、第2弾。
 貧しい男やかよわい女の犯した罪は大目に見ようとし、一方で彼らを利用したり、罪のない人間まで巻き込むことを辞さない悪党には、断乎として厳刑を科する名同心、笊ノ目万兵衛。彼が事件を解決しようとする度に、愛する家族が次々と巻き込まれてしまう悲劇を描いた「笊ノ目万兵衛門外へ」。
 ほかに「切腹禁止令」「大谷刑部は幕末に死ぬ」など全7編。
編者は、文芸評論家・日下三蔵氏。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Sam

46
編者日下三蔵が言うところの「プレ明治もの」(忍法帖シリーズから明治ものへの移行期に書かれた作品群)を集めた短編集の第2巻で、7つの逸品からなる。時代も幕末から明治まで、登場人物も著名人から市井の人までと様々だが、己の信ずるところに従い懸命に生きたにもかかわらず最後には悲劇的な運命に陥る人々を描いている。どの作品も著者ならではの物語構成の妙、透徹した眼差しが印象的だが、どこかそれを肯定的に見守っているような心持ちも感じられる。表題作と「笊ノ目万兵衛門外へ」が特によかったかな。2023/11/24

ヨーイチ

19
これも、半分は既読。「陰萎大将軍」って、まあ何と言うか、筒井康隆ではないか(笑)。中身も他の奴とチョット違う。確かに家斉、家慶、家定と続く三代中祖父、父が異常に子供が多いのに、この人だけ、実子無し。(ウィキペディアで確認)この事実が作者の構想の発端だったのでは無いか。そして慶喜嫌いの理由もその父の多産に置く。この告白には思わず唸り、感嘆。これぞ小説の醍醐味。本当はどうだった?なんて実はどうでも良いのだ。最後の「暗黒星」も星享の暗殺者が剣客伊庭家の跡取りだったと云う史実から構想されたに違いない。続く2013/08/11

タツ フカガワ

16
幕末から明治への騒乱と混沌の時代を舞台に7話を収録。寺社奉行にも信頼された敏腕町奉行同心の不幸の連鎖が痛ましい「笊ノ目万兵衛門外へ」や、物騒な将軍暗殺話ながら、滑稽色も漂う「獣人の獄」、皮肉とユーモアを交えた「切腹禁止令」ほか、どれも面白いが、「陰萎将軍伝」が素晴らしかった。徳川15代将軍のなかで最も評価の低い13代家定の実像に迫るもので、最後の1行が切ない。2018/11/26

さっと

10
幕末から明治にかけてが舞台の作品集の2巻目。ひとつめと同じく70年代前半に書かれたもので、もともとの『斬奸状は馬車に乗って』+前巻に収まらなかった日本妖人伝シリーズの2編で構成される。出色は「笊ノ目万兵衛門外へ」。町奉行所同心の万兵衛は弱いものには同情し悪人には徹底的に厳しくあたる庶民からすると理想的な官吏であるが、その忠実な業務のかげで、いくども身内の犠牲が伴ってしまう。これも山風ならではのスッキリしない後味悪いテイストでらしさ全開なわけだが、タイトルにこめられた驚愕のラストでそんなんぜんぶ吹っ飛ぶ。2020/09/20

かえるくん

8
山田風太郎の時代短篇選集その2。「笊ノ目万兵衛門外へ」では、家族を思い、己の仕事に誇りを持ち、ただ清廉に生きてきた男に訪れる劇的な末路を描く。「陰萎将軍伝」では暗愚という評価の定まっている徳川十三代将軍家定の実像に迫る。「明治暗黒星」では金権政治の権化といわれた星亨と、隻腕の剣客伊庭八郎の弟伊庭想太郎を対比させることで人生の明暗をあざやかに浮かび上がらせる。『幕末妖人伝』より登場人物の知名度が下がるぶんフィクショナルな要素が増している印象だが、おもしろさに変わりはなく、より一層のあわれを誘う。2013/04/02

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