内容説明
虚飾のない、血のかよった人間味溢れる「ちいろば先生」こと榎本保郎牧師の姿を描く、伝記小説。
貧しい家庭に育ち、家の手伝いをしながらも、中学に合格し、積極的な活動をしていた榎本保郎。しかし満州から復員してから、虚無に陥り、生きる目的を失ってしまう。苦労して同志社大学神学部の聴講生になったものの、自殺騒動を起こしてしまうのだ。徐々に落ち着きを取り戻し、神学部にも復学し、神への献身を決意するのだが・・・。
自らをイエスの乗り物、小さいロバに擬し、生涯を伝道に捧げた榎本康郎牧師の壮絶な生と死を綴った伝記小説。
「三浦綾子電子全集」付録として、主人公・榎本保郎の弟・栄次氏が新潟の高校校長になったときの三浦綾子のお祝いの言葉を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
28
三浦さんと縁のあった「ちいろば先生」と称される名物キリスト教者の物語。戦前から終戦直後の世相を交えて主人公の保朗が宗教者として如何に目覚めていくかを描く。保朗に対する中山牧師の「君には罪がわかっていない」の厳しい叱責が上巻のハイライト。久しぶりに訪ねた三浦綾子記念文学館のお土産としてテイクノート、手に取って良かった。下巻へ。2023/07/22
Ayakankoku
11
上巻はキリスト教の話というよりは、戦中や戦後の描写が多かった。自分の信じたものに一直線に歩む生き方にパワーをもらった。下巻を読み進めるのが楽しみ。2021/11/03
ほうき星
10
下巻へ続く!2016/10/03
あかつや
6
「ちいろば」の愛称で知られる名物牧師の生涯を描いた物語。上巻は少年時代や信仰に目覚める前の愛国青年時代、苦しい軍隊生活を経て、信仰への道へと入っていく。かなりエキセントリックな人物で、一旦思い込んだらカーっとなって突き進んでいく。まだ今のところは偉い人物だなって印象はあんまりないな。ここまでは熱血バカの変なやつだ。話がうまいから伝道者としてはうってつけかもしれない。家族にはかなりの負担を強いていて、自分の命を盾にして親から金を引き出そうとしたシーンはどうかと思ったよ。あれはキリスト教的にはありなのかな。2022/07/19
PukaPuka
3
タイトルはほんわかしていますが、戦時中、戦後まもなくの話があり、なかなか壮絶です。2021/09/25