内容説明
女学校に入った時から、小学校教師として敗戦を迎えるまでの「石ころのような平凡な女」三浦綾子の自伝的小説。
昭和10年に女学校に入学した「わたし」の無愛想で生意気な学校時代から、昭和14年に小学校教師になり、敗戦の翌年の昭和21年に退職するまで、生徒や同僚と関わり合いながら生活していくさまを描いた自伝的小説。軍国主義時代に、いかに世間や社会に対し無知であったか、いかに教師として無力であったかの懺悔の書でもある。
「三浦綾子電子全集」付録として、著者インタビュー「青春の情熱をかけた教師時代を省みて」を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
77
三浦綾子の自伝小説なので、書かれた当時のことが色鮮やかに見えました。平凡な少女が教育者としての道を歩む戦中戦後のことが語られています。天皇忠誠の信念が、敗戦により迷いの道を彷徨うのは時代の波にもまれていたからでしょう。悩み苦しんだ青春が心に刺さります。石ころだった彼女のあり方は軽薄で一途であったに違いありません。しかし、この青春があったからこそ、「三浦綾子」という生き方ができたのだと思います。2015/05/19
優希
59
三浦綾子さんの自伝でした。教員時代のことが主に書かれています。最暗部が描かれていると言ってもいいでしょう。教員として、人間として、女性として深い迷いの中に陥った姿に心が痛みました。戦争という時代を生き抜いたからこそもがき苦しんだのですね。身体中に痛みが走るような作品でした。2020/10/03
ゆうゆう
16
氷点以外の作品を読んだことがなかったから、とても新鮮だった。三浦綾子さんの青春をのぞいたような気がする。とてもいい先生だったんだろうなぁ、子どもたちに慕われて。他の作品も読みたくなった。2019/04/12
Hitoshi.F
11
読了。三浦綾子の自叙伝である。正直に素直に丁寧に自らの半生を振り返ることで、戦中教育やその中で盲目となる国民の姿や思想は何だったのかを解き明かしている。彼女もまた戦中教育に疑問を持たず、むしろ当時の教育を是として一心不乱に教壇に立ち続けた。『日本がどのような方向に歩みつつあるのか、勤務する学校がどんな教育方針を持っているのか深く心に留めることもなく、毎日をただ(略)「みだりに人の師となるなかれ」』とは文中の一説である。きっと現代人である我々では計り知れない反省や後悔があったのだと思う。2019/10/04
ろこぽん
10
教員時代のキラキラとした明るいところと、最も暗いところでもがき苦しんだ経験が書かれている。戦争というものに洗脳され、それが解けた時の絶望感、三浦さんの小説はこんな経験をしたから書けるのかと思った。包み隠さずすべての思いが書かれたすごい自伝です。2025/03/22
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