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内容説明
この国の人々は選択的に外の思想を受け入れつつ、あるべき人間とは何かという問いを立ててきた。ではその根底にあるものは何だろうか。思想史を俯瞰してそれを探るには、日本の内と外の両側から眺める視点が必要である。そしてそのような内と外の意識こそ、古代からこの国で綿々と受け継がれてきたものだ。神話時代から現在までの各時代の思想に、外部的視点からの解釈を押し通すのではなく、内在的視点をもって丹念に光を当てる。一人の思想家による、初めての本格通史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
28
『古事記』は本文が1主題で貫かれるが、『日本書紀』の神代部分に続く複数の異なる伝承を一書曰(あるふみにいわく)として並列して掲げる(029頁)。空海『十住心論』(正式には『秘密曼荼羅十住心論』)は、心の実相を、真言の説く最高の悟りへの垂直な上昇軸として示している(089頁)。善人とは、少しでも自力性を誇りうる質をもった人間である。悪人こそ弥陀の本願にかなう(悪人正機説142頁)。不干斎ハビアン『妙貞問答』は1605年に著した(196頁~)。2015/01/14
masabi
14
神話から現代まで日本思想を通史的に叙述する。丸山が日本に思想などないと論じたことから生まれた日本思想とはという疑問から本書を手に取った。各思想について記述していくので深くはないが、いかに自分が日本の思想家について無知であるかを思い知った。日本は外来の思想を受容-選択-集中というプロセスによって獲得してきた。時代によって変化するが、中国からと欧米諸国からが大部分になる。敗戦が思想の見直しを迫った。2014/12/20
yo
13
【日本の思想文化を俯瞰する意欲作】「日本思想」と一口に言っても、例えばキリスト教のような教典があるわけでもなければ、西洋哲学のような体系立った議論が展開されてきた歴史もない。日本における思想史は、「選択―受容―深化」の歴史とも言える。その観点から、古事記から現代の生命倫理学までを一つの「日本思想」としてその全体の流れを俯瞰するのが本書だ。芸能・宗教といった隣接分野にも言及しており、日本で見られた思想文化をかなり網羅的に整理している点、非常に素晴らしい。もちろん読者は興味のある部分だけ読めばよいだろう。2021/02/10
Gokkey
11
日本という国を形作ってきた思想的な背景を通史で辿るという挑戦的な内容。時系列に沿った歴史的事象(例えば第二次大戦など)と当時の思想との関連性の持たせ方に著者の個性が出る。例えば明治以来の西洋思想(哲学)の受容による国家主義~超国家(帝国)主義の胚胎に続く思想的変遷と対比させて鈴木大拙といった国学の流れを汲む思想を取り上げた点に著者の問題意識が顕現されている。換言すれば、学問としての西洋哲学を受容する傍らで生活・感性は儒学に基づく東洋思想が依然として存在し、乖離しているという「二階建ての」思想だ。2023/08/19
isao_key
11
日本思想史を通読できる全く新しいテキストが登場した。人物でいえば聖徳太子から丸山真男に至るまでを取り上げている。研究の細分化、専門化が当たり前のこの時代において、太古から現代までを一人の著者が書き下ろし、それを新書で読めるというんは、近年まれに見る快挙であろう。重要人物は、特にていねいに頁を取って説明を加えている。朱子学と反朱子学の章では実に筆が冴えわたる。「益軒は朱子の理気論を、仏教老荘思想の影響を受けているとみなし、儒学本来の考え方でないとして批判する」など、思想史を読んでいて、久々にワクワクした。2015/03/31
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