内容説明
その絵は、誰のために、何のために、描かれたのか? 狩野派の若き天才が挑んだのは、一筆の力で天下を狙う壮大な企てだった――。天才絵師・狩野永徳が「洛中洛外図屏風」完成に至るまでの苦悩と成長を描いた話題作文庫化。下巻に特別描き下ろし短編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
5
洛中洛外図関連の本は面白いので図書館で探して読んだ。2017/06/04
くらげ
2
1人孤独に、天と地の間で狩野を超えんと立ち続ける源四郎もさることながら、元秀と松栄が!愛おしすぎてもう!競絵で、兄には勝てないと悟りながらも、勝たねばならないという重圧に泣きそうな元秀を抱きしめてやりたい衝動にかられました。元秀にそんな重圧をかけた松栄も、自分には父のような能力もなく、息子のような才能もなく、ただひたすら真面目に狩野を守るために生きてきたと思うともう、切なくて愛しくて泣きそうになる。平次も可愛いし登場人物がみんな素敵な人たちばかり。時代小説にしては少しライトだけれど、読みやすくておすすめ。2014/11/18
アメシスト
1
狩野永徳による洛中洛外図にストーリーをつけるとこうなる。他の小説に見る永徳は傲慢で毒のある人物だが、ここでは純粋で才能に溢れ、既成の概念に捉われない爽やかな青年として描かれる。絵師でありながら、激動の時代を見据えた永徳の傑作を知ることができた。2020/02/20
うたまる
1
「父上、わしは越える。狩野を。否、目の前にあるすべてを。そうでなくばわしは、わしではなくなる」……『洛中洛外図屛風』の制作部分は楽しく読んだが、そこ以外はやっぱ軽かった。”ライト”とか”ジュニア”とか付けるべき軽さだ。相変らずの青臭い会話で、しばしば赤面もした。あのね、これ別に戦国時代でも狩野永徳でもなくていいんじゃない?中学校の美術部で、作風に迷う部員の話でええやん。それくらいの軽さ、その程度の内容だよ。”画狂”も”魔境”も大袈裟。そんな狂態も、そんな懊悩も書けていない。今後の著者の奮起に期待。2017/10/26
長介
0
面白くて一気に読んでしまいました。2015/03/14