内容説明
商売より味。頑固な祖父は、新しい料理屋に団体客を取られても黙々とうどんを打ちつづける。そんな折、五十年前の大水害の翌日、路上で素うどんをふるまった若い職人がいたという投書が新聞に載った。淑子はその「希望の味」を知りたいと願う。出会いと別れに寄り添うあたたかい味が沁み込む極上の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
314
祖父母の経営するうどん屋を手伝う中学生のよっちゃん。お店に隣接する斎場に集まる人びとを通じて、生きていくことの切なさや、ある日突然訪れる別れを学んでいく。人は誰でも、他人とは大小の縁をもって繋がっていくわけだけれど、どんな仲にも平等に訪れる「死」、そんな当たり前のことを今回また重松さんに教えられた1冊。2018/03/03
まるる
67
中学生の時に同級生のお葬式に参列したことがある。死因は自殺じゃなくて体育の授業でマラソン中の心臓発作。小学校の時に同じクラスになったこともあるのに、泣けなくて後ろめたさを感じてた。高校生の時に後輩が白血病で亡くなった。少しは交流があったのにやっぱり泣けなかった。でも、みんなそれぞれ違う悼み方でいいんだ。暖かいかけうどん食べたくなりました。2015/05/29
トラキチ
63
死というものは避けては通れないけれど、それでも人は生きていかねばならないということを本作は教えてくれます。淑子目線なのがとりわけグッドです。 淑子は親が反対するにもかかわらず、祖父母が経営するうどん店の手伝いにいきます。職人気質の祖父と世話焼きな祖母に可愛がられている淑子が葬儀やお通夜の前後のお客さんが大半の環境のお店でバイトすることにより、死というものに直面します。他の作品のように親子の絆を深く描いていないところが圧倒的な感動には至らないかもですが、それぞれの登場人物にドラマがありしみじみと読めます。 2018/07/05
hitomi.s
61
お仕事先が変わって二日目の朝、通勤電車の中で読了。 前職の終わりのバタバタや、今度の仕事が決まる間や昨日今日のフワフワした気分のなか、難しくなくあたたかく人の気持ちの曖昧だけど踏ん張ろうとする部分が描かれているこの本が近くにあってよかった。 今日は、どんな日になるかな。2017/06/06
KAN
61
よかったけど、私は上巻の方が入って来た。下巻はあまり、入ってこなかったなー。2017/02/26