内容説明
ネタ元との約束を守って「特落ち」に追い込まれたベテラン記者・山沢勇次郎。謎のリークが記者たちを翻弄するなか、山沢はメガバンクの巧妙な巨大損失隠しに気付く。暗躍する外資系証券会社と政界の思惑――。美人記者・秋山らと共に山沢は金融界の最深部に闘いを挑む。大型新人が放つ圧巻のエンターテイメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
59
相場英雄さんの『不発弾』を読み、この時期の金融小説をもっと読んでみたくなり探した一冊です。主人公は日銀クラブに所属するベテランの記者。巨大グループ企業とフィナンシャルグループ絡みの特ダネから始まる物語。金融庁と大物政治家、外資系証券会社とヘッジファンドが登場しますが、読みやすいです。怪しげなリークメールの差出人と謎ときもからみます。なんとなく想像できそうな登場人物、そうするとこの事件はあれがモデル?え?まさか実際にこんなことはないよね?想像しながら楽しめました。2017/03/22
まつうら
32
300ページ弱の中にいろいろなテーマが詰まった、とても濃い作品。金融行政とか、地域振興とか。その中でも一番のテーマは、ジャーナリズムの精神だ。最近のマスコミは、スポンサーや当局の顔色を見てばかりで無難な記事しか書かない。ネット社会のオピニオンリーダーの方がよっぽど切れ味がある。でもこれでいいのか? エッジの効いた記事を発信してこそのジャーナリズムじゃないのか!? 山沢、秋山、西田の3人は、こんな思いを持って権力者たちに逆襲していく。そこには倍返しのような流行語では語れない、著者のアツいメッセージがある!2022/03/23
maimai
31
真実を追い求めるジャーナリストと問題をひた隠そうとする金融業界の話。これを読むと一つの事件の影には色々な人の欲望や陰謀が詰まっていて、そして自分だけが得をしているように思っていても実は誰かに利用されているという社会の図式が分かります。そして悪いことをすれば必ずそのことは明るみにでる。そのことを暴くのが報道記者じゃなくて一般の人だったりどこに事件の影があるかは分かりませんね。大切なことは「知る」ことなのでしょうか、自分が損をしない為にも。2016/06/28
yuu@mayu
25
『☆☆☆☆』リアリティがあっていい。デビュー作みたいなので次に期待もてるかな。2017/09/30
Yunemo
17
まずは、人の生き様なんでしょう。記者、官僚、政治家、金融人、それぞれがその職業の持つ生き様を記したものとして捉えます。ただ、いろんな欲の虜でやっていくのも生き様の一つ。臨場感のある場面設定に、何だか虚しさを一面で感じながら。佐藤氏が解説してますが、メディアの問題、情報の質の問題、その利用方法、出世、政策、金儲け、いろんな場面で意図的に使われている事実に寒気を感じてしまいます。ニュースは作られているんだ。かなりの部分、報道の現実なんでしょう、確かにリアル。山沢の妻理沙の存在に救われます!2014/12/06