内容説明
英国推理作家協会賞を受賞した大逆転サスペンス。貴方の予想はすべて裏切られる!
おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進する。「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。未曾有の読書体験を、貴方もぜひ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
2488
いやあ素晴らしい。普段はミステリーを読まないものだから、これがどれくらい標準的なそれを超えているのかがよくわからないのだが、この作品が少なくても犯人を推理するといったようなレベルにないことは確かだ。なにしろ、犯人はほとんどはじめからわかっているのだから。したがって、ここで問われるのは「何故?」ということに尽きる。それを突き詰めていくのがカミーユ警部だ。次々に明らかになってゆく真実と、それぞれの心の動き。筆者は別の作品でゴンクール賞を受賞しているのだが、さすがに心理の「あや」を描き出すのに傑出した作家だ。2014/12/19
サム・ミイラ
2158
本当に凄い作品だ。不条理な誘拐劇から一転、衝撃的犯行の数々と想像を裏切る展開に思わず息を呑む。ラストに問いかける真実と法と正義。今まで読んだ事のない感情が込み上げる犯罪小説であり警察小説の傑作。この掟破りの一部始終を見逃す手はない(笑)2016/02/27
遥かなる想い
2094
2015年度このミス海外第1位。 誘拐される美貌の女アレックスが 圧倒的な色彩感を放つ。 追うカミーユ警部たちのキャラも よい。 誘拐されたアレックスが 自力で脱出後、物語は 大きく動く…いったい アレックスは何者なのか? 何のためにこんなことを 繰り返すのか? 一転して、心がない アレックスの存在感は むしろ鮮やかなのだが… アレックスの視点と 警部たちの視点が交互に 切り替わり、徐々に物事が 明らかになっていく様は 見事で…終盤のアレックス の真実も大変哀しい…そんなミステリだった。 2015/01/24
starbro
2065
本屋大賞まで受賞して遂に7冠までなった「その女アレックス」ようやく読めました。さすがに7冠は伊達でなく、いい意味で予想を裏切る展開で一気読みしました。ピエール・ルメートルの他の作品も読んでみたいと思います。話は変わりますが、ここまで売れた本に、こんな遅いタイミングで受賞させる本屋大賞は制度、スケジュール等を見直す必要があるのでは・・・2015/04/19
W-G
1671
過剰なまでの宣伝文句に釣られたせいで、自分の中でハードルが上がりすぎましたが、それでも面白いと思わせてくれました。今、振り返ると書店のプッシュし具合はかなり熱烈だったと思う。カミーユとそのチームはかなり好き。アルマンが特に個性的でいいとこ持っていく。ただ、この着地は個人的には微妙。シリーズ物でコレをやっちゃうと、ここから先の作品で感情移入しづらくなる気がする。そして・・・ネタバレ連発するシリーズ物を二作目から出版するのは駄目です。