内容説明
日中戦争で数度にわたって従軍した林芙美子。その初随行が、一九三八年、蒋介石率いる中国軍を追討するための漢口攻略だった。女性らしい温かな視点で、陸軍第六師団の兵士たちの姿を綴った本書は、代表作『放浪記』につぐ大ベストセラーとなる。満州ルポ「凍れる大地」を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこ見
4
女流作家の日中戦争従軍記だが、戦闘よりは合間の行軍の場面が中心で、兵隊が戦友との思い出を語ったり、道端で摘んだ花で胸ポケットを飾ったりするような日常の一コマの描写が多い。だが、それよりも多いのが無邪気な戦争賛美の言葉であり、巻末の解説で佐藤卓己氏が書いた「感傷の横溢と思考の欠落のコントラストが、この作品を際立たせている」という一文は本作をよく表現している。正直今読んで面白い作品ではないし、当時の版元である朝日新聞社や取材に協力した関東軍などの動向が書かれた解説の方が学ぶところが多い。2021/10/27
Gen Kato
3
「お国のため」という大義名分で煽られた戦争は人間の心を高揚させ、判断力を失わせる。「兵隊が好き」な一庶民・ひとりの女であった林芙美子だからこそ、の舞い上がりぶりに、怖さと痛々しさを感じる。自らが同じ轍を踏まぬよう心する、そのための書。(ちなみに併録『凍れる大地』は文化人ぽいので、時代の制約があるとはいえあまりに差別的な表現など、作家としてどうなんだろうかと批判的に読める。2017/09/30
ユキノ
2
『ソ連兵へ差し出された娘たち』を読んで、戦争と女性について考えていたら、去年この本を読んだことを思い出したのでメモ。2025/08/25
tekka
1
良くも悪くも、いや、悪い意味で当時の日本人の植民地に対する感覚がよくわかる。2023/08/22
くらーく
0
本当に前線は大変だなあ、兵隊は辛いなあ、著者も身をもって経験して貴重なルポを送っているなあ、と思って読んだのですが。。。。 話を盛っていませんか?一週間ですよ。しかも、トラック、飛行機付きで。その辺は作家先生だからかしらねえ。 でも、その当時を思い図るに、女性がこのような体験をして新聞記事にすると、大きな反響があり、部数も伸びたようで。結局は、部数拡販の広告もあるのでしょうな。 穿った見方ですが。戦争に協力したというのは言い過ぎですが、そんな時代だったのだなと思います。 戦争になる前に何とかせねばねえ。2017/08/05
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