内容説明
アパートの水漏れがきっかけで、下の階に住む男と親しくなったあかり。男はある日、奇妙な相談を持ちかける。「俺と、部屋を交換しない?」(「天井の刺青」)。街のあちこちに灰色の公衆電話が存在していた、あの時代。初めて東京を訪れた私が泊まったホテルの部屋には、なぜか外国人女性が住んでいて……(「東京観光」)。不思議で、ユーモラスで、じんわり染みる。直木賞作家が贈る、味わい深い七つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
397
中島京子は初読。本書には7つの短篇を収録。発表誌はWEB文芸「レンザブロー」など、やや軽めか。いずれの短篇も、日常からの軽やかな逸脱を描く。その意味では川上弘美の描く小説の構造に似ていなくはないのだが、表象する世界は大きく異なる。芥川賞作家と直木賞作家の行き方の違いでもあるのかも知れない。篇中では、私はやはり表題作の「東京観光」をとる。そこはかとない哀しみと暖かみが同居しつつ、そこにノスタルジックな気分の揺曳する作品。他の小説も含めて、一応は独自の世界を構成する。もっと読みたいかといえば微妙なところ。2020/01/10
ミカママ
247
中島さんのエッセンスを楽しめる短編集。ただしオリジナルで発表された媒体がいろいろ(よって想定された読者層もバラバラ)ということで、読みながら頭を切り替えなきゃいけなかったのがしんどかった。2017/01/07
しんごろ
188
七つからなる短編集。不思議で、どこかユーモラスな中島京子ワールドは健在で、今作は中島京子ワールド全開かも…。この世界観が、ちょっとクセになる。不思議な感覚があって、味わい深く、時にはドキンとするような感じもあり、読んでて心地よかった。どの短編も良かったのは確かだけど、月日が経つと物語の内容も忘れてしまいそうな気もする。そんな短編ばかりだけど、心が穏やかになったのも事実です。2021/04/02
Aya Murakami
140
ナツイチ2019対象本 どことなく不思議な中身(外見は普通のようだが…?)な人物たちが織り成すちょっと不思議な日常の一コマ短篇集。 ゴセイトさん…。なんとなーく挙動が人間っぽくないなと思ったら解説にて妄想が作り出したゴースト的存在と説明。やはり化け物さんでしたか(汗)。別の短編では「相手にずれたところがあってもイジワルにならずに受け入れなければ全てが終わる」ということを登場人物がいっていました。自分の内面であろうが異質な相手であろうが許容できるとこは許容していきたい自分です。 2019/12/03
ゴンゾウ@新潮部
114
発表された時期や媒体が異なりバラエティに富んだ短編集。でも共通するのはどこか不思議な感覚。なんだろう、この不思議な感覚は。懐かしくて優しい居心地がいい。【ナツイチ 2019】2019/10/02
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