内容説明
右大臣だった菅原道真が大宰府へ左遷された。悲憤慷慨する彼にお相手役の保積もお手上げ。そこへ美貌の歌人恬子(しずこ)が現れ、博多津の唐物商へ誘う。道真は、書画骨董の目利きの才を発揮し、生気を取り戻す。その頃、朝廷に出す書類に不正が発覚し、府庁は窮地に。事態を知った道真は、自ら奇策を……。朝廷を欺き、意趣返しなるか! 日本史上最も有名な左遷された男の活躍をユーモアのなかに描く歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
189
左遷された菅原道真の大宰府での生活を描く。私の中で歴史上の一人物った道真公が憂い、喜び、悲しみなど様々な感情を持った一人の人間として動きだし、一気に身近な存在になった気がします。突然京から高貴な方を受け入れることになった大宰府側の面々も人間臭くて魅力的。ユーモアもありとても面白く読めました。「人は置かれた場所で生きねばならない」勇気と柔軟な心の持ち方も教えられた一冊でした。2020/08/17
あきぽん
161
太宰府に左遷された菅原道真は実は逞しくその地で生きる道を見出してた、というお話。菅原道真にまつわる伝説はそもそも太宰府に失礼だし、人間は本来もっと柔軟性のある生き物のはずだ。教科書の歴史とは違う視点で書く、面白い時代小説。2020/10/27
kk
153
澤田先生の作品、初めて読んでみました。なんというか、丁寧によく練られたお話ですね。本作は長編ですが、雰囲気的には往時の昭和文士の短編を彷彿させるものを感じました。話の流れも然るべく自然だし、基本的に優しい視線で、読んでいて心地よかったです。たまに「良い話」成分が諄くなって説教くさく感じられちゃったのがタマニキズかな。2020/01/29
yoshida
133
太宰府に配流された菅原道真。鬱々とした道真の無聊を晴らすよう、太宰府官吏の龍野保積は指示を受ける。この物語は、人生の逆風を受けている読者への応援歌だと思う。そして、一度倒れても、再び立ち上がり歩き出すことは自分自身の力と決意と示す。道真も自分の関心事に惹かれ動き出す。遂には、先右府である能力の片鱗を披瀝し快活さを取り戻す。生きていて順風満帆な人は少ないだろう。誰しも悩みや挫折がある。そこからどう生きるか。挫折が大きければ、それだけ立ち直るに時間も要す。しかし、雨は止む。空は晴れる。人生はやり直せるのだ。2021/01/17
エドワード
130
あまりに有名な菅原道真の左遷事件。右大臣から大宰権帥へ降下された道真は、藤原氏を恨んで失意のうちに死す、と一般的には言う。本当にそうか?ここでの道真は、最初こそ意気消沈であったが、大宰府の人々と交わるうちに「置かれた場所で生きねばならぬ」と悟り、博多津の商人たちと唐物文物をめぐり丁々発止を繰り広げる。奈良時代から続く地方政治の腐敗、事なかれ主義の官僚、今も変わらぬ?文書の改ざん事件など、民草の真の姿を知る道真が新鮮だ。道真に影響を与えた、当時の大宰大弐の親戚筋・小野恬子(誰ですか?)の生き様も興味深い。2018/03/27
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