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内容説明
人間は成長するに従い言語コミュニケーション能力、運動能力を獲得していく。同様のプロセスをロボットに行わせることが研究されている。脳を代替させる演算装置にはアルゴリズム、数理モデルをつくり、目の代わりになる視覚センサ、運動器の代わりになる。人工知能研究者やロボット研究者の仕事は、「知能を創ること」とも言える。本書では、記号創発ロボティクスのアプローチを紹介し、知能のメカニズムに迫る。(講談社選書メチエ)
目次
第1章 ロボットが心を持つとき
第2章 自ら概念を獲得するロボット
第3章 自ら言葉を学ぶ知能
第4章 潜んでいる二重分節構造
第5章 ロボットは共感して対話する
第6章 構成論的アプローチ
第7章 記号創発システム論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
WATA
58
「人はどうやって物を認識するのか」「人はどのように言語を獲得するのか」という哲学・心理学の最大の謎に、工学的な視点で挑もうとする意欲的な1冊。研究の具体例として、学習しながらモノを分類していくロボットや、アルファベットの羅列を単語ごとに区切っていくシステムが紹介されている。どちらもほぼ前提知識無しで動作しており、幼児の学習環境に近い。本書を読んで、人と同じように学習する機械が構築可能である、ということにとても驚いた。この手法がさらに発展していけば、人間の知能のしくみももしかしたら解明できるかもしれない。2014/07/22
りょうみや
26
心や知能は哲学においても重要な分野であり、それらのロボットへの実装(構成論的アプローチ)によってこれらの概念を明確化しようとする従来の哲学に対する挑戦的意気込みが本書にある。著者は心や知能は自然言語では定義しきれないというがそのとおりだと思える。具体的には自動学習による概念の獲得、言語理解、他者との共有信念の獲得など。認知科学(脳科学)と人工知能は双子の関係だと他書であったがそのことを深く実感できる。2022/09/20
月をみるもの
12
ビブリオバトルの考案者として有名な谷口さんが、自身の研究内容について語った本。執筆/出版の時期が、ちょうど Deep Learning 勃興直前なんで、この後、なにが変わって、なにが変わってないのかをまとめた本も書いてもらいたいところ。自然言語解析は BERT で世界変わったかと思ってたら、GPT-3 でさらにすごいことに。。 https://twitter.com/gijigae/status/12858085293626613792020/07/25
Haruki
5
人間が言語を操り心を持つメカニズム探究の視座として、認知的な閉じ(自分のモダリティで閉じた情報取得システム)のミクロループの中でどのように言語や意味を生成するか、を動機とする。その方法論としてロボットによるミクロループを形成し、記号的秩序の獲得ができるか(概念的分類、形態素解析、二重文節構造の理解、共通信念形成)を構成論的アプローチとして進めている。意味獲得へはミクロループ個体に加え、個体集団の相互作用で形成・創発される大域的秩序構造(≒言語)があり、かつその制約が個体に還るミクロマクロループ構造を構想。2023/12/11
デコボコ
5
機械学習とか構成論的アプローチとかの予備知識をある程度持っている自分からすると、やや物足りなかった。具体的なアルゴリズムの話がほとんどなかったので。n-gramといったキーワードは散見されたので、自分で勉強しろということでしょうか。 逆に言うと、予備知識がなくても十分楽しめます。 教師なし機械学習というのはここまでやれるものなのかという驚きが半分、そりゃ出来るよなという納得が半分でした。2014/08/06