内容説明
世界的ベストセラー作家だった親友が死んだ。追悼式に出席した売れない作家プフェファコーンは、親友の手になる未発表の新作原稿を発見。秘かにその原稿を持ち出し、自作と偽って刊行すると、思惑通りの大ヒットとなったが……ベストセラー作家を両親に持つ著者が、その才能を開花させた驚天動地の傑作スリラー/掲出の書影は底本のものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろんこ*勉強のため休止中
165
この出発点にして、まさかの着地点だった。有名作家だった友人の遺稿を盗み、自分の作品として発表...とよくあるスリラーかと思いきやとんでもない!いきなり斜め45度ぐらいに二転三転していく。ジェットコースターのように息つく暇もなく、しかも1ページ先の展開が読めないほど意表をついていた。奇想天外。スリラー、サスペンス、ミステリーとどのジャンルとも言えないほどの自由奔放さ。ここまで突飛もないと読者の好みが分かれると思う。駄作とも傑作とも言いにくいが、私は楽しめた。だって先が読めない小説って実は少ないんだもん。2014/10/10
白のヒメ
54
主人公はデビュー作一本だけしか本を出せないしがない作家。知り合いの流行作家が事故で亡くなりその葬式の帰り、たまたま未発表の原稿を見つけてしまう。思わず隠し持って自分の名前で出版社に持ち込むのだが・・・。奇想天外な展開があるとの本の背表紙どおり、なかなか文学調子に始まった物語は、途中でぎょっとする展開になったかと思うと、最後は唖然としてしまう結末へ。なんだこれ(笑)分厚い本の所々でブツブツ呟いてしまうものの、とうとう最後まで読ませてしまうのは両親ともが作家だという血のなせる業か。うーん、へんてこな本でした。2018/09/14
goro@the_booby
39
うぅ~んどう評価しようか悩む作品だわ。盗んだ小説が大ヒットしてそれが バレて追い詰められて行く男の物語。と思いきやこれが遥か斜めを行くだけではなくてジグザグと…。エドガー賞のノミネート作品とはアメリカはさすがに広大ですわ。121章目は賛否両論なんだろうけど、最後までたどり着けた人へのご褒美ってことでいいのではないでしょうか。ジョナサン・ケラーマンの息子ってことでもう一つ驚いた。2015/12/29
hanchyan@ふむ……いちりある
31
すごかった。本書を手に取った読み手のうちで、結末はおろか、第三部からの怒涛の展開を予見できた者は皆無だろう。や、もしかして多くの読み手たちは、続く第四部で本書を壁に投げたかもしれないが(笑)ちょっと待って!この小説は、2頭の龍のウロボロスだ。1頭は「芸術」、もう1頭は「通俗」ね。しかもその2頭は、飲み込み合うってよりかは、お互いにお互いを吐き出し合ってるのだ。少なくともそのように自分には見えるぞ。錯視?(笑) ともあれ、深刻な時もふざける時も病める時も健やかなる時も、徹頭徹尾真顔な波乱万丈の物語。2022/01/08
りつこ
30
なんじゃこりゃ?久々のなんじゃこりゃ感に清々しさすら感じる。前半はありがちなありきたりなミステリーなのが、後半にいくにつれトンでも臭を放ちだし、最後はもうなにこれ?神?みたいな境地に。でも面白い。リーダビリティも大したものだし、なにこれ?バカでしょ?とツッコミながら読む楽しさよ。しかもタイトルが駄作って。どんだけ人を食ってるんや?!大まじめなバカバカしさがとても好み。楽しかった!2014/10/18