内容説明
大坂の陣。二十万の徳川軍に包囲された大坂城を守るのは秀吉の一粒種の秀頼。そこに母・淀殿がかつて犯した不貞を記した証拠が投げ込まれた。陥落寸前の城を舞台に母と子の過酷な運命を描く。傑作歴史小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
20
戦国時代もの小説というのは、司馬遼太郎がいるからさぞかし書きにくいことだろう。執筆にあたっては司馬遼太郎とは異なった視点とアプローチが必要となる。実は司馬遼太郎作品というのは物事について白か黒か、善か悪か、敵か味方か がはっきりしていて、それ故に真実が見えにくいところがある。その点 安部さんの視点というのは真実を浮かび上がらせる鋭さがある。この大坂城落城というテーマは司馬遼太郎も『城塞』として書いているが、安部さんがどう書くのかが興味深かった。読後あらためて淀殿、秀頼という人物について考えてしまう。2015/05/05
あっこ
14
特別な盛り上がりがあったわけじゃないけど、新鮮な感じがする豊臣家の人間関係だった。大将の器を備えた大人な秀頼と、昔の栄華に執着するヒステリックな淀殿。秀頼一人に実権があれば、豊臣家の行く末も変わっていただろうと思う。2014/06/10
ぱぷお
12
秀頼が逞しく立派な武士として描かれていた反面、淀殿の悪者ぶりが際立っていた。秀頼の父親は本当に秀吉なのかと疑ったり、秀吉公認の上で他の男の種をもらったという話や、大野治長や石田三成との仲を怪しんだりするものは今までにもあったが、淀殿が大野治長と全裸で事に及んでいるところを秀頼に目撃されてしまうというショッキングな展開は初めて。司馬遼太郎とは全く違う解釈でとても面白かった。2016/08/17
ハッチ
12
★★★★★秀頼は淀殿のいいなりと思っていたが、この作品ではそうではなく、秀頼が良き武士と描かれている。安部さんの歴史小説はやっぱり好きです。2014/11/23
誰かのプリン
11
大阪城の中では何が起こっているのか。母親淀殿との確執、片桐且元の裏切り疑惑、織田有楽斎の寝が入りなど、本書は分かりやすく書かれている。面白かったです。2017/02/22