内容説明
この国には善意も、絆も存在しない。復興バブル、支援ビジネス、貧困と孤独。仙台を見れば?断絶された僕ら?が見えた。こんな国に必要な新しい「つながり」とは? 『ブラック企業』で大佛次郎賞受賞の著者、渾身の衝撃ルポ。
目次
序章 「ブラック国家」とは何か?
第1章 3・11後の悲惨
第2章 吸い取られた義援金―福祉不在の「絆」の構造
第3章 被災地を食いつぶす「復興予算」と「支援ビジネス」
第4章 虚構の求人倍率と不可能な自立要求
終章 仙台からのオルタナティブ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっ!chan
27
「断絶の都市センダイ」というタイトルが気になって手にした本。作者はあの「ブラック企業」の名付け親ということで、この本は「低福祉」「絆」「開発主義」そして「ブラック国家」というキーワードで震災後の被災地支援の問題点を労働環境という観点から切り込んでいる。仙台に特化した内容ではないけど、「絆」という言葉の意味をこのように解釈する考え方があるのかなとちょっとだけ目から鱗でした。仙台で震災を体験した一人としても、改めて一人でも多くの人が幸せになれるように微力ながら復興に関わっていきたいと思った。2015/03/12
壱萬弐仟縁
24
図書館から借りた直後に、このブラック国家という副題が妙に気持ちが悪くなった。ブラック企業と同じ構図が、被災地にはあるという。絆スローガンの陰で、被災者間に分断が生まれていた(14頁)。無理な構図を弱い者へ押し付ける社会(15頁)と化しているのだ。嫌だと言えない、言わせないという恐ろしさ。特殊詐欺の手法も似たようなイメージを抱く。第三世界の開発が貧困を作り出したように、東北の被災地でも開発主義が変容、ブラック国家となった(21頁)。絆は被災者を救わなかった(60頁)。 2014/09/03
百太
20
明日は我が身と思い生きて行くのが不安になるし憤る。2017/05/04
おかむら
14
仙台の被災者支援ルポ。助け合い支え合う「絆」からもれてしまっている人たち。美談好きのマスコミはこういうの絵にならないから取り上げないし。津波や原発からはまぬがれた仙台はいちおう復興してるっぽいイメージですが、生活困窮者はひっそり増えてるんだな。著者はブラック企業人←書いた人ね。2014/06/06
どら猫さとっち
9
東日本大震災から3年、まだ復興は進まない。それどころか、その支援すら充分ではない。震災が忘れられている昨今、本書が刊行された。我々が知らないでいた様々な問題や、被災者の苦悩が浮き彫りにされた衝撃のルポ。しかし読後、安易に「衝撃」という言葉を使っていいのかと思う。本書にある事柄は、今我々が向き合わなければならない現実である。支援とは名ばかりの偽善ビジネス、絆で一体化した裏側に潜むバッシング、充分に生活できない被災者たち…。秘密保護法などブラック国家化する日本。そのきっかけが、この震災だったとは…。2014/08/24