内容説明
おなかを満たし、心を癒してくれる東京・東中野の小さな名店「名登利寿司」に新しい寿司職人が入りました。師弟となった父子を見守るおかみさんとお客さんたち、日々起こる家族のこもごもと美味な寿司。ウニをめぐって攻防が起こり、四〇年続いたオトウサンのツメ作りは最後になる。文庫書下ろし。
目次
1 二代目が入店しました(久しぶりにナマコを仕入れた カンヌキと呼ばれる見事なサヨリ ほか)
2 うちは縁起のいい寿司屋(ハンサムドクターから寿司の差し入れ 味の違うヅケ丼にびっくり ほか)
3 優しいお客さんばかり(幸せのおすそわけ 箱ウニと塩水ウニ ほか)
4 寿司はパワーをくれる食べ物(演歌歌手のMさん来店 残念な白アマダイ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
49
著者は、東京は東中野に店を構える寿司屋のおかみ。本書ではよその店で修業をしていた息子が二代目として入店した前後の変化や日常が綴られます。湯引きした金目鯛に身の厚い星鰈、煮アサリなど大将と二代目のつくる肴や握りから朝晩のちょっとした賄いまで、見ているだけでお腹が減ってくるのですが、何より店とお客様たちとの交流が心に残りました。二代目を気遣う常連さんがいて、他のお客さんの喜びに幸せのおすそ分けをもらう方もいる。大将の「この商売のいちばんの楽しみは、お客さんとのふれあいだよ」という言葉がしみじみ胸にしみました。2019/05/17
しょーくん@本棚再編中
40
★★★★★★★☆☆☆さすがは児童文学作家の寿司屋のおかみさんです。食欲をそそられる的確な描写にやられました。空腹時に読むと危険ですね。下手に財布が軽く豊かだと、寿司屋に寄ってしまうおそれがありますよ。シリーズされているようですので、他のエッセイも読んでみたいと思います。あ〜ぁ、寿司食いてぇ〜…2014/08/31
seacalf
38
『うちあけ話』と違って、日々のお客さんとの交流と朝晩の献立を中心に書かれているのでちょっと面食らう。シリーズを読んでいる人向けとはいえ、ほのぼのとした雰囲気と旬のネタやお寿司についての蘊蓄が面白いのは変わらない。二代目とのやり取りも感じ良く描かれている。礼節がありつつ温かい家族だ。客層は、どこぞの社長さんや業界の人など富裕層が中心なのかな。ちょっとお刺身を見繕って貰ってお任せ握りを頼んでお酒も呑んじゃうと2万円くらいか。やっぱり庶民には高嶺の花だなあ。とは言いつつ、仕事帰りの妻を誘って今度行ってみよう!2019/07/31
harumama
20
かなり昔に読んだシリーズを久々に読んでみました。商売を継承していくのは今の時代難しいが、息子さんが父と同じお店で修行し自分の家に戻ってきた。夫婦二人で二人三脚でやっていたお店に新しい風が吹き込んだようだ。お寿司大好き人間なのでとにかくおいしそうでたまらなかった。そして、しゃり一つ、ねた一つ丁寧な仕事をこつこつ続けるその姿は美しいなあと思った。それでいて、敷居を高くしないでお客さんを受け入れる姿勢が長くお店を続けていく秘訣なのかもしれないと思った。機会があればぜひ一度食べてみたいものだ。2014/10/30
さいたまのたぬき
18
普段お店に食べに行っているだけではうかがい知れぬ お寿司屋さんの裏事情が面白く、 お寿司が大好き、食べるの大好きなら 文章が読みやすいのもありとてもおすすめ。 旬の魚のことや、お料理のこと 今回は息子さんがお店に入ったことによる お客さんとの絡みや、親子の気持ちの入れ違いなど ちょっとハラハラしながら読めます。 2014/10/16