出版社内容情報
美人ジャーナリストがスキャンダルを探るため怪僧・秀建に接近するが、秘密の館で身も心も裸にされ…人間の業と欲に迫る異色長編
内容説明
すべての欲望は、京都の秘密の館で花開く―市長選挙間近の京都。美人ジャーナリスト・東院純子は、保守派のスキャンダルを探るため怪僧・秀建に接近するが、政財界の大物が集う秘密の館で身も心も裸にされてしまう。快楽、復讐、裏切り、支配―人間のあらゆる欲と業を巻き込みながら、選挙戦は大波乱の結末に!読み出したら止められない“魔物”のような痛快エンターテインメント!
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
兵庫県生まれ。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などを経てバスガイドを務めるかたわら小説を執筆。2010年、第一回団鬼六賞大賞を『花祀り』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sheemer
19
「お気に入りの感想」かアマゾンのレビューだったか覚えていない。表紙絵が綺麗だな、と思ったのが見てみるきっかけだったか。京都市長選に立候補した清廉潔白すぎる報道人と、京都の清濁を合わせ飲んだ好色坊主とその係累の闘い、なのだが、展開の中心はエロである。そういうジャンルなのだから別にそれでいいのだが、それ以上にはどこにも出ていない。仲村淳彦による底辺を体験した作家の解説が興味深く、むしろそちらに惹かれた。清濁の濁を容認する仕方が、諦めに満ちており、今の社会の現状そのものといえば言えるが、なんら勇気は湧かない。2025/02/11
ロマンチッカーnao
18
独特の雰囲気、歴史的な地位を保ち、世界的な観光地でもあり、東京に対して憧れを持たず、逆に上から見ることが出来る唯一の街、京都。その京都の市長選に、京都の改革を掲げる東京からの出馬者が現れ、それを潰す有力者たち。その中心人物、好色坊主の秀建。とにかく、この坊主のキャラがえげつない。政策や理想で真正面から戦うことなど一切せずに、すべて色仕掛けで敵対者を潰していく。しかし、その底には、この世は地獄。その地獄を知らぬものが、理想を掲げても、底辺に暮らす者たちは、逆に苦しむことになる。その信念が怖い。面白かった。 2021/01/24
修吉
17
正義の対義語は悪では無く、違う正義。そんな物語です。おもしろい。観音さんの日本海の描き方は秀逸。秀健の実家、日本海の寂れた漁村、に訪れる件が良かった。これは官能小説とかエロス小説ではないね、かといって一般小説としては筆致に力強さと言うか厚みが足らないかな…★★★☆☆2022/02/03
スリカータ
16
京都市長選挙に立候補した二候補者。敵を蹴落とす為のスキャンダル合戦。陥れようとして逆に罠にハマった元女子アナが主人公。ダークホースは饅頭を潰した様な醜男の怪僧・秀建。官能場面も含めて乱痴気騒ぎで、読み手を飽きさせない。勢いに乗った花房観音さんの手にかかると、正義は容赦なく撃ち砕かれる。秀建はとんでもない生臭坊主なのに、終盤で唱えるお経が有難いものに思えたのが不思議だった。2023/11/16
桜もち 太郎
16
「世の中の決まり事を超えた肉の欲望が交わる姿」、そうだこれが人間の正体なのだ。魑魅魍魎とした京都の裏の世界に生きる人間たちと、エリートで正義感いっぱいな人間が京都市長選を通して何が正しいのかを問い続ける。薄っぺらな正義を振りかざす各務原と底辺から這い上がり欲望のままに生きる秀建、どちらが魅力があるのかは言うまでもない。「何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」、室町時代の唄だ。一生は夢、ただ狂ってしまえ、夢のような唄だ。欲望のままに生きることは、悪なのではないということを教えてくれた一冊だった。 2021/03/27