内容説明
暗闇から抜け出ようとするその列車のように、私もまた暗い二十歳から抜け出ようとしていた。北海道の炭鉱町から東京に集団就職した私。だが工場の同僚との諍いで、職を失ってしまう。やがて私は石川啄木の足跡をたどり、ふるさとへ向かう―1976年度文藝賞受賞の文学史に輝く伝説的名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
17
石川啄木と自己を重ね合わせつつ、青春の蹉跌と抒情を描く。北海道出身の著者なので、北国の情景の形容が見事です。饒舌すぎるほど長い形容詞は1970年代っぽいですが。啄木の紆余曲折の生涯を知るにつれて、改めてその歌を詠んでみたくなりました。2014/11/10
Shinya Fukuda
1
北海道の炭鉱町に生まれた二宮は炭鉱事故で父親を失い、集団就職で東京に出る。その職場での喧嘩で職場を辞めざるを得なくなる。指も三本失う。その後、東京で飯場を転々としていた時、北海道時代の親友卓也と邂逅する。卓也が二宮に語る爆弾理論は難解で理解できなかった。卓也との子供時代美しい思い出。仔馬ジルコ、由紀という美少女の話が出てくる。啄木が北に向かった航路とシンクロして二宮も北へ向かう。啄木の生涯を辿る旅を続けた二宮だったが最後は故郷に辿り着く。しかし卓也から届いた手紙を読み再び東京へ戻る決心をする。難解だった。2023/01/01
Norico
1
石川啄木についてもっと知りたくなりました2022/11/07
メデスキ
1
石川啄木を題材にした一作。文章が旧いため、継がれない作品。故に読む価値が実質、無い。この点ばかりは時が来たときにモロバレてしまうので如何ともし難い。啄木の詩やらが引用されているが、そこだけが活きているので文章の旧さを確認出来る。