講談社文芸文庫<br> 有田川

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講談社文芸文庫
有田川

  • 著者名:有吉佐和子【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 講談社(2014/10発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062902298

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内容説明

私は川上のどことも知れぬところで誰とも知れぬ親に産んでもらった――けれども人間はいずれ生れて川に流されるものではないのか。どんな人でも多かれ少なかれ水に流されながら生きて行くのではないのか――。有田川の氾濫のたびに出自を失いながら、流れ着いた先で新たな生を掴み取る紀州女、千代の数奇な生涯。『紀ノ川』『日高川』に並ぶ、有吉文学における紀州三部作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

naginoha

54
有吉佐和子往年の名作「川もの」の一つ。私の地元で先日これ原作の演劇が行われ、少し関わった縁もあり再読。 明治の水害で二度も流された千代がその数奇な運命に揉まれながらも激動の時代を強く生きる物語。 活き活きとした会話、振舞は正に「わえがちさいときのおばん、おいやんらとしょうやごう」 登場人物は架空だけど(モデルはいる模様。金鳥の初代社長とか)地名やみかん栽培の変遷などカルチャー面はリアルそのもの。地元民はそこでかなり楽しめます。 そうじゃない人も千代のたくましい女性像に惹かれること請け合いです。4/52020/11/09

いくら

29
有田みかんで有名な紀州の有田川流域を舞台にしたひとりの女性の生涯。川上の名家の長女として育った千代は、美しい妹が生まれたときに自分が両親の実子でないことを知ってしまう。そして12歳のとき有田川の氾濫で濁流に呑まれ、流れ着いた先の蜜柑農家で女衆として生きていくことになった。やがて幸せな結婚をして蜜柑づくりに精を出し、その知識の豊富さから「蜜柑の小母ん」と呼ばれるまでになる。出自の悩み、度重なる水害、新しい技術にも折れずにしなやかに生きる彼女の生き方は、清々しい。2014/08/12

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

28
有田の蜜柑作りの女性の一生。有吉氏らしい綿密な小説。度々氾濫する有田川の恐ろしさ、女性の出生の不思議さ、蜜柑作りの楽しさ苦しさがよくわかる、一気読みの作品。2019/12/02

ねっしー

3
主人公、千代の心の移り変わりが、読者にすっと入ってくる。有田川、蜜柑と共に、懸命にまっすぐ生きる姿。実の妹ではないお悠紀さんへの愛。私自身とかけ離れているためか、その生きざまにうらやましさを感じてしまう。私にも妹がいるが、果たして千代ほどの愛情をかけているだろうか…。『紀ノ川』『日高川』も読んでみたい。2017/01/08

まめお~

2
去年10月箕島に行った時に有田市制60周年記念として「小説有田川の世界」展をやっていて読もうと思った。復刊されたからか文庫本で税抜1,900円!思わず図書館へ。でも読み終わってみて、その価値があるなぁと思った。有田川の氾濫とともに人生をリセットする千代という女性の人生を描いた物語。とともに有田みかん生産に関する変遷も夫が有田川町出身なのも手伝って興味深かった。解説にあったように絶対男性には書けないと思う千代の心の動きにドラマを見ているようだった。お悠紀さんに対してのあたりとか。有吉佐和子さんすごいわ。2017/03/24

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