内容説明
戦国時代の代表的梟雄・斎藤道三。その出自は美濃の油売りではなく、美濃国守護の土岐家の家来筋に連なる国人だった。父を謀殺され、権力の怖さと魅力を知る道三。最新の資料をもとに、これまでの道三像をくつがえす、波乱と艱難に満ちた道三の前半生を描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤枝梅安
55
岐阜県出身の筆者お得意の、「美濃」に関する小説。斎藤道三の若き日の苦闘を描いた作品。田舎の地侍達の日々を深刻になりすぎず、スピード感あふれる合戦シーンとユーモラスな会話を織り交ぜ、軽妙に物語が進んでいく。戦国の世を「成り上がっていく」侍の過程をこの作家らしい視点で綴る。妻の死、父の死を乗り越え、自分が守るべき土地と人々を守るために敢然として「邪な心」を持つことを決意し、それを実行していく新九郎。下巻になだれ込む。2014/08/14
如水
26
今となっては定番となった斎藤氏2代説の中で一番読んで見たかった本。新左衛門(父)と新九郎(後の道三)のバトンタッチが何処だったのか?新左衛門の過去は?は分かる内容でした…が、登場人物が分かりにくい😁ドンだけ大人数で◯衛門出てくんねん!って言う内容。まぁ上巻内容の殆どが国人同士の争いなのでしょ~が無いと言えば其れ迄ですが(興味を持った方、ウィキペ検索で国人の美濃を見て下さい。驚きの数💧)。さて、長井家から守護代斎藤家の名跡を継ぐ迄の波瀾に満ちた内容は…流石との一言。野心満々父と違い革新的な新九郎。下巻へ2020/11/19
onasu
21
ありがちな表現なら、岩井三四二×美濃の蝮斎藤道三。その上巻は、青年道三(長井新九郎)が、父/新左衛門に従い、美濃の国人として右往左往しているところから、国を奪い取ることを企図するまで。 悪名高い道三も青年期は青い。後の道三にひけを取らない邪さを持つのが、父/新左衛門。主の前では、ひたすら頭を低く、裏では執拗に領地拡大を画策し、地歩を固めていく。そんな父が急死して…。 読めば嵌まる戦国時代の成り上がりストーリーも、道三、初読とあっては尚更。それでは下巻へ。2014/05/23
スー
19
美濃の蝮と言われた斎藤道三。油売りから一国の主になり梟雄と言われたわりには尼子経久の様に領地を大きく増やすことをしなかったし、信長に対しては良い親父殿の印象で梟雄とイメージが一致しない不思議な人物でした。この本では美濃取りは道三一代ではなく父親と道三の二代にわたる国取りの説をとっています。上巻では道三はまだ若く才能は有るが野心が少なく現状に満足していて、このまま行けば治世の能臣に終わりそうですが、時代は乱世に突入しており将軍は京を追われ美濃は守護の土岐氏に力はなく家臣達が実権を握っている状況で家臣同士の2018/09/25
糜竺(びじく)
16
この本では父親と道三の二代にわたる国盗りの説をとった作品となっている。正直、戦国時代でのし上がるには、人を殺したり策略を用いたりしなければ難しいのが伝わってきます。だんだんと新九郎(後の道三)がダーク化していってる気がする。下巻が気になります。2025/08/07