内容説明
1942年、ナチスドイツに完全包囲され、すべてのライフラインを断たれた古都レニングラード――砲弾の雨、強奪、凍死、餓死、人肉食……。想像を絶する地獄絵図の中で、ショスタコーヴィチの交響曲第七番を演奏する人たちがいた! なぜそこまでして? 何のために? 平和を愛するすべての人に贈る、驚愕と感動の記録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
49
☆5。再読本。さて、人間は何のために音楽を聴く? 何のために音楽を奏でる? レニングラード封鎖がどれほど過酷だったかはこの本に書かれている通り。また、他の本でも読める。だが、それでも人々は音楽を欲した。音楽を奏で、音楽を聴いた。それだけの価値、いや「美」がそこにあったからだ。「生きる」そのものがそこにあったからだ。過去、人類は、現在の情況と比較にならないほどの現実に向き合わなければならなかった。そのときに力となったのは何か? 音楽であれ、物語であれ、必要なのは「美」であったのだろう。私はそう思う。2020/05/18
1959のコールマン
43
☆5。極限状態での音楽。それがどんなにか価値のある、いや価値というコトバで表せられないほどの美しさを放つ。それ以上の言葉がいま、そしてこれからも見つからないだろう。内容は小説風。なので現実にこうだったか?という検証材料にはなりえないが、レニングラード封鎖を生きた人間がここに余すこと無く、良いところも、悪いところも書かれている。食料も必要だったが、それ以上に人々は美を、音楽を欲した。米ソのこの曲に関する政治の駆け引きは書かれていないが、これだけで十分。さて心して第7番を聞くか・・・。2019/11/04
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
24
ドイツ軍に約900日封鎖されたレニングラードで、結成されたラジオ・シンフォニーというオーケストラ。封鎖345日目にショスタコーヴィチの交響曲を演奏する。全ての食料燃料労働力のラインが断たれた街では「白い地獄」という悲惨な生活で100万人以上の市民が餓死した。「卵をめぐる祖父の冒険」に出てくる「図書館キャンディ」などが食料の一部となる。歩く力も残っていない楽隊員が痩せこけた体で作り出すハーモニーとはどのようなものであったか。飢えて凍えた市民はどのようにこのハーモニーを聞いたか。音楽がしみとおる。2015/06/21
かもめ通信
16
ショスタコーヴィチの交響曲第7番。ヒトラーが率いるドイツ軍がレニングラードを包囲する中で生まれたこの曲が、戦闘で傷つき、飢えに苦しみ寒さと闘いながらも、その命を削って演奏し続けた音楽家たちの手によって上演され、同様に苦しみながらも音楽を聴きに集まった聴衆達によって惜しみない拍手をおくられるにいたるまでを追ったノンフィクション。膨大な資料と、関係者へのインタビューに基づいて迫真のルポを執筆したのはなんと日本人。このテーマで本を書きたくて、一からロシア語を勉強したという。いろんな意味ですごい本だった!2014/06/12
ののまる
14
ショスタコーヴィチ7番を聴きながら、読みました。音楽による精神的な充足が、飢餓と砲弾で死にゆく人々の生きる希望となり、またそれをまさに自らの命を削って届け続けた音楽家魂に熱くなるドキュメント。2016/01/03
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