内容説明
ねじれたシダしか生えぬ土地、滝壺に吊された女の死体、底なしの井戸、棺から消えた死体がモウリョウとなり村人を襲う・・・渡世人三次郎が足を踏み入れた上州の山奥、火嘗村は、名状しがたいものに彩られていた。そもそも倉賀野宿で看取った病人が、村の災厄と名主屋敷の三姉妹の死を予言して果てたのだった。三度笠の三次郎は「あっしには関わりのねえ」事件に次々巻き込まれてゆく。本格ミステリと痛快股旅小説、奇跡の出会い！
目次
第一章 密室は掘割を流れたCR+LF第二章 上州吾妻郡火嘗村CR+LF第三章 モウリョウ様が来るCR+LF第四章 娘の目になにが映ったかCR+LF第五章 篝火は闇に消えたCR+LF第六章 名状しがたい股旅物のようなものCR+LF第七章 名主屋敷に地獄火を見たCR+LF第八章 初夏の風
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
58
時代小説ミステリの第2弾。渡世人の三次郎が行くとこ犯罪あり。冒頭鮮やかに事件を解決するが、その後火嘗村へと場所を移し、予言の呪いに挑む。1作目と同じく頻繁に読者に対して話してくる。密室講義を始めようとしたり、三次郎が出ていかないから殺人が起きないだろうと促すとこも笑える。次第におどろおどろしい雰囲気が充満してくる。そしてまさかのあっしには関わりのねえことでで、済ます謎解きは唖然。 金田一ミステリをパロディにしている箇所もあり。 そして村人があれだったというオチ。 だから時代劇というのが成立するのは見事。2021/05/19
セウテス
56
最高傑作｢猫間地獄のわらべ唄｣に続く、痛快本格時代小説メタミステリー。いやー待ってました、前作にはまってしまった人たちにとっては、此処でしか味わえないミステリーです、本当に。今回は渡世人三次郎が｢あっしには係わりの無い事でござんす｣と決め台詞を言いながらも、探偵役をこなして行きます。こういった説明からして可笑しいと感じるでしょうが、渡世人探偵とは畏れ入りました。イメージは勿論中村敦夫さん(若い方には馴染みが無いかも知れません)。前作を読み、この本の特徴を理解して頂いた上で、読者への挑戦を楽しんで欲しい。2016/04/06
藤月はな（灯れ松明の火）
41
舞台裏的メタ発言でゲラゲラ、笑わせて貰った前作が面白かったのでこちらも読みました。死者の起き上り＝モウリョウ様と入らずの山があるオカルテックな舞台に名主同士の権力争いと逆さの死体と三姉妹という横溝ワールド。只管、探偵役だけど流れ者というスタンスを強調する文章が私の腹筋を笑いへと誘い、ミステリマニアや続編匂わせ発言へのツッコミや「人物造形とかそんな細かいことまで書いていたら本が余計、厚くなるわ、ボケ！」という作者の叫びが聞こえそうな逆切れに爆笑。途中でのある要素まで出た時は某作品を思い出して噴きました（笑）2014/05/10
kate
26
「猫間地獄の童歌」に続く本格時代ミステリ第二段。今作は横溝風の山村での連続殺人です。前作が強烈だった為、笑激度ではやや物足りなさも感じますが相変わらずのメタな会話は楽しめます。前作の舞台裏でのメタ会話といった感じのものから今作は読者目線のメタ会話にシフトチェンジ。思わず「あるある」と同調したくなる会話てんこ盛りです。2014/05/31
usarlock
19
幡さん、ふざけ過ぎw江戸時代の農村で起こる連続殺人に探偵役の渡世人・三次郎が巻き込まれるんだが、前回の「猫間地獄の～」以上のメタっぷり。推理小説的お約束が分かっていない三次郎が空気読めない奴扱いっていう…w 大量に放置されていたフラグがどうなるのか不安だったがスッキリ回収してくれた。最後は比較的真面目でしたね。続編があっても良いかもしれない。 「どうして探偵ってやつは密室となると、分類や解説をしたがるのかねぇ？」「フェル博士かよ」という時代を無視したメタ発言が笑えたw2014/05/20
