内容説明
誓願寺法主の安楽庵策伝が江戸初期に編纂し、板倉重宗京都所司代に献呈した笑話集。うつけ・文字知顔・堕落僧・上戸・うそつきなど、多様な庶民の登場人物がつくる、豊かな笑いの世界。のちの落語、近世笑話集や小咄集に大きな影響を与えた。慶安元年版・全8巻42章311話の翻刻文に、現代語訳、語注、鑑賞、解説を付した、はじめての書。(講談社学術文庫)
目次
名津希親方
貴人行跡
〓(うつぼ)
吝太郎
賢達亭
謂被謂物之由来
落書
ふはとのる
鈍副子
無智之僧〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
61
落語の落ちの部分ばかりを集めたようだなと思いながら読み終わったら、のちの落語や小咄に大きな影響を与えたと解説にあった。笑いのネタは、愚か者が人まねをして失敗する、知ったかぶりで無知を露呈する、言葉遊び、謎解き、などなどだが、解説を読んでもピンとこない話も多く、笑いにも時代の流行があることを感じさせられた。1巻2巻の話が、特に落語っぽくって面白い。6巻は児(ちご)の話が多く、当時多くの寺にいたらしい児たちと僧との関係がなかなか生々しい。2018/01/18
1.3manen
23
原文→現代語訳→語注→鑑賞。巻末は解説→あとがき→参考文献。59無智之僧(140頁~)。鑑賞において、智恵がないとは、学問もせず、経文も読まず、いい加減な生活で、僧としての勤めもしない。僧の世界を体得できない人物(141頁)。87自堕落(199頁~)とは、僧が戒律を破ること。悪さを承知で開き直る(語注)。124番のでは、独りはどうにも世を過ごすことができず、もう一人は暮らし向きが落ちぶれている(286頁)。2015/01/16
ひさしぶり
19
江戸時代初期に編集。のちの落語、小咄のもと。文盲の庶民、不良僧、呑兵衛等を嘲笑うような話の集まり。丁寧に現代語訳、鑑賞の仕方の注釈つけてあるのに笑いのツボが理解できなかったりで自身の教養のなさばかり気になって仕方なかった。これから半世紀も経てば今の笑も未来人は何がおかしいのだと疑問に思うかもしれない。2021/05/24
猫丸
5
笑話を集成した書。時代が古いせいか少々読みにくい。後に落語のネタとなる原話がちらほらあって興味深い。かなり丁寧な解題が付されているが、解釈に疑問符がつく箇所がある。
まさ影
4
さすが落語の祖2014/05/03




