グローバル資本主義の中の渋沢栄一―合本キャピタリズムとモラル

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グローバル資本主義の中の渋沢栄一―合本キャピタリズムとモラル

  • ISBN:9784492396018

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内容説明

リーマンショック以降、市場原理に信頼を置く「英米型資本主義」に対する信頼が大きく揺らいでいる。21世紀のグローバルな時代に必要な「新しい資本主義」の概念が求められている。それには、500の企業、600の社会貢献事業に関与し、近代の日本の産業の父と称された渋沢栄一が示した「合本(がっぽん)主義」にヒントを求めることができる。合本主義とは、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方である。道徳と経済の一致や、適度の競争を重視するなど、社会との調和を保ちながらの経済思想であり、その思想が世界的にも注目され始めている。本書は日英米仏の著名な経営学者・歴史家が集結し、合本主義について論じた研究成果である。著者は、パトリック・フリデンソン(フランス社会科学高等研究院名誉教授)、ジャネット・ハンター(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)、ジェフリー・ジョーンズ(ハーバード・ビジネススクール教授)、橘川武郎、田中一弘(ともに一橋大学教授)、島田昌和(文京学院大学教授)、宮本又郎(大阪大学名誉教授)、木村昌人(渋沢栄一記念財団研究部部長)。

【主な内容】
第1章 渋沢栄一による合本主義 島田昌和
第2章 道徳経済合一説 田中一弘
第3章 官民の関係と境界 パトリック・フリデンソン
第4章 「見える手」による資本主義 宮本又郎
第5章 公正な手段で富を得る ジャネット・ハンター
第6章 グローバル社会における渋沢栄一の商業道徳観 木村昌人
第7章 世界的視野における合本主義 ジェフリー・ジョーンズ
第8章 資本主義観の再構築と渋沢栄一の合本主義 橘川武郎

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

7
渋沢栄一が唱えた合本主義について考え直して、最近時のグローバル資本主義についての今後の発展性を追求している論文集です。渋沢栄一が経済界でどのような位置づけであったのか、また彼の提唱した道徳と経済の合一性などを8人の内外の経済史、経営史研究者が簡潔に分析してくれています。渋沢栄一が出てからまだほんの100年程度たったくらいですが、彼の思想というのは現在にも当てはまる、あるいは継承していくべきものであると思われます。2014/03/06

緑虫

1
★★★ 渋沢栄一が持っていた「経済は道徳を持つべきで、かつ経済は道徳と両立する」という思想について資本主義が現在置かれている状況から論じた論文集。経済がモラルを持つべきというのは、経済活動がしばしばその場を壊す(地球環境破壊、労働力搾取とか)のを防ぐ観点から重要なのは疑いないことだけど、そのモラルの拠り所が論語である必要は全くないので、渋沢に学ぶというより経済とモラルについて論じたもっと一般的な議論を読みたいと思った。2章、8章あたりが現代的問題意識から興味深い。2018/05/01

Hisao Chugun

0
第3章・5章・7章・8章を読みました。あと、2章も少し。海外の方が捉える渋沢が知りたかったからこういう選択になりました。 本書は渋沢の評伝ではないので、渋沢の経歴をこの本で知ろうとすると無理が出ます。大河ドラマで渋沢を知ったような人は、この本を読む前に、渋沢の人生の歩みがある程度わかる、評伝を読むことをお薦めします。 その上で、渋沢の考え方をある程度わかっていると、興味深く読めると思いました。各章のテーマと渋沢の思想をどう結びつけて論じているかをチェックしながら読むと面白いです。 2021/06/20

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