内容説明
日本人は何を食べていたのか。本書は京都・山科家の日記や奈良・興福寺の文書をひもとくことで、中世の公家と僧侶の食生活を再現し、その背景をなす製法の歴史へと接近する。中世から近世にかけて日本酒としてのかたちを整えていく酒。醤(醤油)、味噌、納豆といった大豆発酵食品……。日本の食文化を最も特徴付ける発酵技術と発酵文化の歴史を追い、その原点に迫る。これが日本食の原型だ! (講談社学術文庫)
目次
第1章 中世末の食物売りたち
第2章 一五世紀公卿の食生活―『教言卿記』『山科家礼記』『言国卿記』
第3章 一六世紀公卿の食生活―『言継卿記』『言経卿記』
第4章 奈良興福寺の食生活―『多聞院日記』
第5章 中世酒から近世酒へ
第6章 火入れの発展
第7章 大豆発酵食品
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
25
91年初出。15C『教言卿記』『山科家礼記』『言国卿記』(22頁~)。酒迎(坂迎):参詣、長旅から帰った友人、知人を途中まで迎え、祝ってもてなす儀式(43頁)。3つの分類表は61頁にある。魚介類や菓子類が豊富だとわかる。16C公卿食生活:『言継卿記』『言経卿記』(68頁~)。これらも魚介に菓子多し。1596年、京都大地震(118頁~)。本願寺倒壊。死者3百人。日本酒製造法:人見必大『本朝食鑑』1697年、寺島良安『和漢三才図会』1713年(165頁)。 2015/03/11
火烏
2
タイトルにだまされた2014/05/13
mfmf
1
タイトルに惹かれて読んでみたものの、思っていた内容とは少し違った。日本の食と酒の歴史について、寺や山科家の日記から分析?している。だけならいいのだが、山科家の歴史や小咄も小混ぜにされていて焦点がイマイチ定まらない。日本食と酒の歴史をテーマにして、室町から江戸に至る貴族と庶民の食事の比較、続けて日本食の代表たる大豆発酵食品の成り立ちにだけ焦点を当てるとか、上手い具合にまとめてほしい気がした。2018/10/25
浅香山三郎
1
名著。講談社学術文庫になつたのが喜ばしい。
さんとのれ
1
中世の公卿山科家の日記を中心に当時の食生活を追い、後半では酒、醤油、味噌などの発酵技術の日本における発展について説明されている。学術的な本ではあるが、中世の貧乏貴族の日常生活があまりにも丹念に再現されているので、なんかしんみりしてしまった。2014/05/08