- ホーム
- > 電子書籍
- > 趣味・生活(スポーツ/アウトドア)
内容説明
東京が招致しながら、自ら返上した1940年のオリンピック。「皇紀2600年記念」として構想されたこの大会は、招致のためのヒトラーやムソリーニとの取り引き、満洲事変への厳しい国際世論など、最初から戦争と政治に振り回された。また、「満州国」は参加できるのか、天皇の開会宣言は可能なのか、など問題山積みのまま、準備は遅れに遅れる。そんな中、招致に尽力したIOC委員・副島道正は「返上やむなし」と腹を決める。(講談社学術文庫)
目次
第1章 オリンピックを東京に―市長永田秀次郎の夢(紀元二千六百年を記念して 腰の重い体育協会 ほか)
第2章 招致実現に向けて―ヒトラーも協力(ベルリン大会を前に IOC会長の変心 ほか)
第3章 戦火ただようなかで―問題山積の開催準備(難航した組織委員会の発足 テレビ中継をめざして ほか)
第4章 オリンピックの火は消えた―ついに大会を返上(雄大な聖火リレー計画 着工できない競技場 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムトモ
56
電)オリンピックも戦争に翻弄された記録。オリンピックを返上する勇気は讃えたい。(ノ-_-)ノ~┻━┻2020は根回し万端準備万端で開催してください〜〜2018/11/12
おかむら
42
昭和15年に東京オリンピックをやる予定だった、というのは中島京子の小説にも出てきたような気がするので漠然と知ってはいたけど、その招致から返上までの一部始終を初めて知った。すごい面白い! よくもまああの時代に! 日中戦争やってる最中よ! 平和なはずのスポーツの祭典に政治や戦争が絡む絡む。ヒトラーやムッソリーニも登場。震災からの復興記念やらメインスタジアムの紆余曲折やら、今度のオリンピックとちょいカブる経緯もなかなかに興味深い。NHKで再現ドラマ化して欲しいわー。2018/01/24
壱萬参仟縁
36
94年初出。返上の歴史があるなら、2020年までに天変地異があれば返上もあるのかもしれない。あの柔道の嘉納治五郎はウィーンIOC総会に向けて’33年東京駅を後にした(49頁)。ボイコット派:日本は満州国独立、国際連盟脱退ゆえ、満州国と共同行動を。参加論者:準備したフィリピンを裏切るので満州国参加を(53頁~)。ラトゥールIOC会長に対する日本最大級の歓迎ぶりは異常(100頁)。長野五輪のサマランチへの過剰接待、会計帳簿焼却証拠隠滅を想起した。あれは今でも汚点。2015/03/18
サーフ
14
1940年の東京オリンピックを巡るグダグダっぷりを見てると2020東京オリンピックの醜態と重ね合わせてしまう。2023/12/19
ブラックジャケット
12
今年はオリンピックイヤー。前回は小学五年生で、いろいろと記憶に残っている。本書は戦前の1940年の幻の東京オリンピックを題材に、当時の欧州と日本の事情を詳細に分析しつつ、見事に歴史に落とし込む。迫り来る軍靴の響き、先端のテレビ技術から東京大会開催の群像を描き出す。欧州と極東の距離感は遠いままだが、ロスからベルリンへのファシズムの道は一気呵成だ。支那事変と呼ばれた日中戦争が内外の空気を変えた。交戦国家でスポーツの祭典はありえない。東京五輪ボイコットの国際世論は厳しい。この挫折が1964年の成功を導いた。 2020/02/04