内容説明
本業は医師(見習い)、副業はおまけ絵描き。そんな男がお家騒動を解決? 薬売りに託した絵が藩の命運をにぎる!見習い医師・孝之助は、趣味で版画絵を描いている。「富山の薬売り」が売る薬に付けるおまけ絵だ。絵で小遣いを稼ぐ、宙ぶらりんのおまけ者のつもりが、偶然、富山藩の存亡に関わるお家騒動に巻き込まれる。江戸家老の大陰謀を国許に知らせなければ、お国が乗っ取られる!?(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きりこ
59
梶ようこさん「柿のへた」に次ぎ2作品目。過去のトラウマを引き摺り、部屋に引き篭もっている見習い医師孝之助。名医の誉れ高い父親のおまけのような立場に引け目を感じながら、売薬のおまけ絵を描いて医師というより絵師のような暮らしを続けている。背景には現実にあった富山藩の権力抗争や財政問題。あることをきっかけに孝之助も関わりを持つことになる。おまけの価値について説く惣吉たちが、孝之助だからこそ出来ることに気づかせてくれる。迷子石を標にするように、迷子医師が自分の道を見つけていくという成長物語、面白かったです。 2014/03/31
baba
41
富山藩にあった史実に基づき、見習い医師孝之助、山谷、順也の幼馴染が騒動に巻き込まれていく。人と接するより絵を描いていたい孝之助が騒動の中を迷子石(医師)の様に迷いながら自分の出来る事を手探り、己を偽ることなく進む様は、歯がゆいようでむしろ潔い。再読だが楽しめた。2016/08/27
のびすけ
31
見習い医者の羽坂孝之助は、藩医詰所にたまに顔を出すだけで、あとは好きな絵を描き、引きこもりのような毎日を過ごす。藩内で派閥対立が激化する中、孝之助は否が応にも争いに巻き込まれてしまう。幼馴染みとの友情と葛藤、父の死の真実、薬草を巡る謎、絹代との淡い恋の行方‥。物語にぐいぐいと引き込まれる。図らずも藩の命運を握ることになった孝之助。大殿との緊迫の対面に手に汗を握る。頼りなかった孝之助が修羅場を経験し、次第に成長していく姿に心を打たれた。梶よう子さんは頼りない草食系男子を描くのがとても上手い。感動しました!2021/03/07
タツ フカガワ
20
江戸詰めの羽坂孝之助は、血を見るのも人付き合いも苦手な医師見習いだが、余技の絵は玄人はだし。一方藩内は国元と江戸藩邸との抗争で死者が出るほど激化し、孝之助も否応なく巻き込まれていく。実際にあったお家騒動を背景にした孝之助の成長物語。梶さんには朝顔同心、御薬園同心など草食系キャラがいますが、孝之助はその上をいくようで、優柔不断さ、頼りなさなどそのキャラクターに歯がゆくなること度々でした。2018/07/10
おか
15
富山藩で実際にあった御家騒動(富田兵部一件)の史実に基づき 歴史には残らなかった人々のドラマを描く 梶さん特有の小説である。孝之助 山谷 そして順也の 同郷の幼馴染達の 其々の生き方が時代に翻弄されて行く。子供の頃には思いもかけない生き方となっていくが その中でも 順也の生き方は哀れとしか言い得ない。孝之助はと言えば 本当に迷子の医師(笑)のようだが 周囲の人達の置いてくれた標石によって 少しずつ 前に進んでいく。しかし 迷うということも 良いものだ。【積読→寄】2015/11/14
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