内容説明
日本人にとってカミ(神)とは本来どのようなもので、どのような変化を経て今日に至ったのか。仏教のホトケやキリスト教のGodとはどう違うのか。カミという言葉の由来を丹念に辿りながら、日本人の文化や生活習慣、精神性までを考察する。日本思想史に変革を迫る、稀代の国語学者の遺した名著。
目次
1 日本のカミ
2 ホトケの輸入
3 カミとホトケの習合
4 カミとホトケの分離
5 ホトケのぶちこわしとGodの輸入
6 カミの輸入
7 日本の文明と文化―カミの意味は変わっていくか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つねじろう
43
神それはミステリアス、特に日本人の神はね。結婚式は神様でお葬儀は仏様、クリスマスもしっかり祝う日本人の神を言葉の生い立ちから手繰って行き、その正体を浮かび上がらせようとする。カミの語源、カミの観念からホトケとの習合と分離を神道から国学、廃仏毀釈まで辿り客観的かつ帰納的に考察し輪郭をはっきりさせて行く手法の納得性は非常に高い。言語の成立ち、音の類似性から日本人の起源は南インドという仮説を立て実証して行く。「神」という一語から日本人の起源、文化文明論まで展開する作者こそ言葉の神かもしれない。興奮する一冊です。2014/02/26
テツ
16
ぼくたち日本人にとって神とは何か。『神』という言葉の成り立ちから始まり、古代からこの令和に至るまでの宗教観の変遷について。一神教的な思想から生まれる世界観&死生観と八百万の神が闊歩する(していた)島国で育まれたそれらとには現代社会において直接的な対立は生まれなくても決して相入れない部分はありそうですよね。自分たちを取り巻く森羅万象の中にヒトは超越者の存在を幻視し、それはリアリティをもって生まれてくる。神性はそれを恐れ敬う人々が生きる世界をそのまま表現している。2021/09/23
Majnun
8
日本宗教史の言語学的アプローチ。ある意味最も客観的で科学的なアプローチと言えるだろう。現代もなにかと変化し失われていく言葉の問題が取り沙汰されるが、そんなことは歴史上何度も繰り返されてきたことがわかるというだけでも大きな収穫がある。仏の枠組みに神を押し込めた神仏習合から、中国の儒家の勃興に歩みを合わせるように神仏分離の方向へ進み、廃仏毀釈へ。その度に碩学が蒙を啓くが、すぐに忘れ去られてしまう。現代の右傾化した言論と無力なアカデミーを大野先生が見たらどのように思うだろう。2015/04/10
ゆうじぃ
6
私は、神や仏について考えるとき、どんな答えも思いも出てこないが、この著書を読んで、言葉として存在するようになった、その起源を少し理解できたような気がする。2024/09/25
とまと
5
すこぶる面白かった。神話学をかじってみたいな。2016/09/24
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