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内容説明
欧米の仏教が急激に進歩しているのに、なぜ日本の仏教だけが旧態依然としているのか。ともに日本の禅宗(曹洞宗)からスタートして、アメリカで仏教を教えた二人。その後、藤田はアメリカに留まり、山下は東南アジアやチベットで仏教を学んだ。三十年にわたり修行を実践し深めてきた二人のカリスマ僧侶が、日本の仏教を根底から更新する。「形骸化した仏教」(仏教1.0)と「方法・テクニックとしての仏教」(仏教2.0)の現在から、ラジカルな「本来の仏教」(仏教3.0)へ――。
目次
第1章 僕たちはなぜ安泰寺で出会ったか?
第2章 「アメリカ仏教」からの衝撃
第3章 マインドフルネスという切り口
第4章 「瞑想メソッド」を超える
第5章 アップデートする仏教
第6章 「仏教3.0」へ向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
48
何とも刺激的な対話だ。共に曹洞宗の檀家を持たない修行道場・安泰寺で出家した後にアメリカで仏教を教え、うち一人は更に東南アジアでテーラワーダ仏教を得度した者による真摯な仏教対談。既存の仏教を批判し、本来の仏教に帰ろうとする「仏教3.0」という主張には危うさも感じさせるが、それでも伝統と現実をきちんと結び付けた上で、どうすれば仏教を現世で苦しんでいる人たちに活かせるかを論じ合う対話には夢中にならずにはいられない。その実践である瞑想については興味深い発見の連続であり、自分も瞑想を始めてみようかと思ってしまうほど2015/08/28
harass
45
ともに曹洞宗に同期で入ったが、それぞれに米国での仏教活動や、ビルマので修行などを得て、日本で活動する二人の対談。日本の既存仏教(仏教1.0)について、世界的に広がるテーラワージ仏教(東南アジアの上座部仏教)(仏教2.0)など、新たに提唱する仏教3.0。テーラワージ仏教は修行の方法が確立してあるが、それでも悟りへの道は実際に難しくその理由も語っている。二人とももともと住職の二代目などではなく、かなりの高学歴で自ら望んで仏門に入ったそうで日本では非常に珍しいタイプの坊さんなのだそうだ。言葉が巧みで感心する。2015/12/20
KAKAPO
37
どのような道でも、書物から学ぶことのできる知識と、師からしか学ぶことができない暗黙知や技があるわけですが、意外にも、仏教にも、その事実が当てはまることを突きつけられる内容でした。また、たとえ優れた師に学んだとしても、身体に染み付いた自我という固定観念を捨てることができなければ、習得することができない境地があることも思い知ることになりました。釈尊が自らの力で到達した覚りを乞われるまで伝える気持ちがなかったという話も、真実味が増してくるのです。2019/04/20
SOHSA
36
《kindle》『現代坐禅講義』からの繋がりで本書を手に取った。藤田氏と山下氏の対談形式の本書はお互いの言説が見事に噛み合い議論が深まっていく。また、読み手のことを置いてけぼりにすることなく、繰り返し丁寧に道筋を示しながら徐々に本質に迫る。従来の日本仏教やテーラワーダ仏教の考え方とそこから派生する問題点はどれも明解でひとつひとつが腑に落ちた。特に山下氏の説く「青空と雲」の説明にはまさに目から鱗が落ちた思いだ。改めて仏教を考え向き合う上での素晴らしいテキストになった。座右の書に加えたい。2020/02/11
舟江
26
図書館に「仏教3.0を哲学する」がなく。この本を選んだ。「幸せはいまここにあるのが本当なのに、幸せを将来に思い描く生き方をずーっと続けたら、完全に間違っているから当然苦しくなる。」「(仏教は)信じられていないから本気で実践されてもいない。そこでは仏教が単なる社会風俗の一部になっている。」など痛烈な言葉が、僧侶から発せられており、また本来の仏教が実践されているとは、只々頭が下がるばかりだ。2016/11/01