内容説明
西田幾多郎につぐ、日本の「第二の哲学者」と評される田辺元。彼の「種の論理」は、世界とは何か、国家とは何か、民族とは何か、社会とは何か、個人とは何か、これらのものはどのように接合しているのかについて問う壮大な知的格闘である。「種」とは、「個体」―「種」(たとえば「日本〔人〕」など)―「類」(「人類」がこれに当たる)の「種」を指す。この「種の論理」はレヴィ=ストロースやドゥルーズの哲学に匹敵する高みに達しながら、国民総動員を哲学的に裏づけたため戦後封印される。しかし田辺は戦後戦争遂行を懺悔(ざんげ)し、「日本民主主義」を提唱して日本の進むべき道を示した。西田やハイデガーに影響を受けつつも、西田の神秘主義やハイデガーの「他者の不在」を批判した田辺の哲学の本質に迫る。特に田辺が生涯を費やした、ハイデガーの存在学との対決について精緻に論述。「種の論理」がいま私たちに突きつけているものとは何か。
目次
序章 われらが第二の哲学者(第一の哲学者・西田幾多郎 楕円的磁場の形成 ほか)<br/>第1章 種の論理の懐胎(戦場の刃 ブラジル移民 ほか)<br/>第2章 種の論理の成立(戦争と哲学 魔の山 ほか)<br/>第3章 種の論理の変容(変化の無変化/無変化の変化 国家と戦争 ほか)<br/>第4章 最後の対決の明日(逆流する河 ニーチェの方へ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
7
PHP新書として刊行されているが、内容は高度に専門的なので、読み進めるのに骨が折れた。絶対弁証法に基づく田辺元による「種の原理」の移り変わりを、彼のハイデガーやニーチェ観の変遷を通じて読み解いてゆく。田辺のハイデガー理解をすこしは学びとれて有益だったが、種の原理じたいにはほとんど関心を持てなかった。込み入りすぎているので。2017/04/16
代拿邁人☆
1
田辺に入門しようと思って読んだが、入門書というよりは批判的な注解という感じだった。もう少し勉強してまた読み直しにきたい。2025/01/25
KN
1
楽しいトリビアが散りばめられているものの、主題が深まっていく気配はなかった。2018/10/16
ねこみ
1
概念ばっか繰り返して殆ど中身ないしさすがフランス現代思想家2014/02/14
Ex libris 毒餃子
1
田辺元の思想を西田とハイデガーを中心に解説している。初期は科学哲学よりであるが、「種の理論」に入ってくると当時の日本の状況に影響した(された)ような政治的・民族的思想になってくる。やや、過激なイメージを受けたが、どういう経緯を経ているのかわからないので岩波から出てる田辺の文庫集を買い置きしているので読んでみたくなった。2013/09/22
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