内容説明
わたしの名はカール・コルチャック。新聞社に勤める事件記者だ。ボスのビンセントとやりあいながら、カメラとテープレコーダーを武器に、今日も事件の渦に飛び込んでゆく……1970年代に熱狂的な人気を得ながら、わずか1シーズン放送されただけで終了し、しかし現在に至るまで多くのコンテンツに影響を与えてきたカルトTVシリーズ。その幻といわれた原作小説を発掘。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
58
叛骨の気質を捨てられない事件記者コルチャック。TVドラマパイロット版の原作だが、闇に葬られた事件のあらましを、コルチャックからの依頼でライスが書籍にしたという形式。警察や市の上層部からの圧力との戦いがメインかと思うほど描かれていて、吸血鬼や不死の錬金術師との追跡劇より迫力があったりする。コルチャックの(良く云えば)少年ぽい取材への情熱や被害者たちへの憐憫が暴走に駆り立てていて、彼自身を破滅へと一直線に導いていく。でもコルチャックの減らず口やスタイルは、やっぱりカッコいい。こんなオジサンになりたいもんだ。2020/11/13
sin
50
感動してしまいました。実はそのむかしTVドラマ版ではないこの本に描かれたTVムービー版2作をLDで視聴済みでしたが2作とも似通った印象を与えられる作品でしたので、小説ではどうかな~と危惧して読み始めましたが思った以上に物語がしっかりしていて読み応えがあった感じです。先も述べましたように映像作品では収録された二つの作品が同じ設定の代わり映えのしない物語にしか観られなかったのですが、さすが小説!ちゃんと物語の棲み分けが出来ていました。2013/09/03
Bugsy Malone
42
かつて夢中になって観ていたTVシリーズ「事件記者コルチャック」。そのシリーズ前にアメリカで放映された長編ドラマ版2話「ラスヴェガスの吸血鬼」の原作と「シアトルの絞殺魔」のノベライズ。1970年代を舞台に魔物や体制と闘いながら真実を追求し、被害を食い止めようとするコルチャック。主演のダレン・マクギャビンの姿を懐かしく想い出す。私の酔いどれヒーローです。2015/08/13
まえすとろ
36
1971年、日本で放映され人気を博したホラーサスペンスドラマシリーズの原作。新聞記者のコルチャックが追った殺人事件の経緯を読者に"読ませる"という趣向で物語は検証を重ねるうちに、容疑者は現代に蘇った吸血鬼や妖怪あったという探偵小説にホラーの要素をミックスした独自の展開が面白い。普段ハードボイルド小説を読みなれない読者にはいささか緩慢な印象を受けるかもしれないが、人の心の歪みや軋轢が横たわる現代社会の闇をシニカルに表現したストーリーは、単にミステリーやホラーで終わらせない構成は、今日でも古さを感じさせない。2014/12/06
アーチャー
29
「事件記者コルチャック」懐かしいぞ!私の地元では週末の夕方に放送され、毎週ワクワクしながら観たものです。本書に収録された2編は、何とも不気味で怪奇趣味な事件と真相を追うコルチャックの姿がリアルに感じてとにかく面白い。個人的には「ラスヴェガスの吸血鬼」の方が好みですが、あとはジョニー・デップがちゃんと映画化して「事件記者コルチャック」が再評価されることを切に願うだけです。2015/10/29
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- 罪深き夜に愛されて 二見文庫