内容説明
東京の下町で居酒屋「北国」を営む合田勝郎。彼がどこで生まれ、どこで育ったのか、どんな経歴かを、周囲の誰も知らなかった。その彼のもとに、訳ありげな若い女・水沼江美が転がり込む。だが食事に誘おうとした日に、突如失踪してしまう。女も自分と同じ小樽出身であることを男が知った翌日、新小樽新聞の東京支社長・池永実が四谷の支社内で何者かに殺される。池永は小樽出身の作家・小野寺圭に新聞連載「小樽ストーリー」を依頼し、資料集めに奔走していた。この作品で、小野寺は、明治時代の政治家で北海道開拓長官を務めた黒田清隆はじめ、小樽の問題点を正面から書くと勢い込んでいた。ふたつの事件につながりはあるのか? 男はなぜ故郷を追われたのか? 捜査を開始した十津川警部は、事件の真相を探るため小樽に飛ぶが、新聞社の周辺ではさらに不審な動きが……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うさっち
17
北海道なので実家の親用に購入。小樽だけでなく札幌の有名なお店も登場するのでイメージしやすくて楽しめた。十津川警部はかなりちょい役でした。2018/10/19
Yoichi Taguchi
4
頭休めに積読本の中から推理小説を。電子書籍で購入したのは数年前で何で購入したのかも分からなくなっているが。TVドラマで、しかも連続物でヒットしてしまうと、十津川警部=渡良瀬恒彦、亀井刑事=伊東四朗がどうしても浮かんでしまう。全体的に軽めだが、処々に小樽の歴史に関する蘊蓄もあり飽きずに読めた。演歌は全く興味ないが、小説を読んでいる間中、何故が都はるみの”小樽運河”がリフレインしていた。2021/03/16
ルナ
2
物語のほとんどが小樽で展開されて楽しく読めました。 十津川警部の場面が少なかった感じがあるし、珍しく、十津川警部とカメさんだけで西本とか他の部下が出てこなかった。2014/09/22
ビスコ
2
小樽を舞台にした、ハードボイルドにも似た作品。十津川警部の登場は少ないものの、「こういうのもできる」という、十津川警部シリーズの幅の広さを見せてくれる。つーかむしろ主人公は合田かも。 小樽の旅情や郷愁もいいが、個人的には下町・鐘ヶ淵の描写が好み。2014/06/28
クジラ
1
先日小樽や札幌を旅行で訪れた。この縁もあって,本書を手に取ってみた。地理的な位置関係や小樽の街の風景が頭の中で自然とイメージできるため,臨場感を味わうことができた。今回本書の中では,史実が綴られていたため,改めて多面的な角度から小樽を深く知ることにつながったのかなと感じており,これまで全く縁がなかった小樽だが,これからはもう一回くらい旅行で行きたいなと感じている。旅とともに記憶に残る本書となった。2022/08/25