内容説明
一見すると「ひどい」と思えるタイトルかもしれない。しかし、「このタイトルを『ひどい』と思うのは、まだ介護や親の死というものを、リアルにイメージできていない証拠である」と、著者は言う。本格的高齢化社会が到来し、親の病気や介護に携わる人はうなぎのぼりに増えている。その反面、自らの父母の双方を介護し看取った著者の実感としては、国は自宅介護中心の考え方であるため、介護体制やインフラ整備、人材教育などが、遅々として進んでいない。このままでは、働く人々が、老人の世話に飲み込まれてつぶれてしまうという事態が急増することも招きかねない。それを、現在からできる範囲でいかに防ぎ、老いた親と、生活のある子どもの折り合いをどうつけられるかが課題である。本書では、医師として、また子として、老親の介護・看取りを経験した著者が、親が安らかな死を迎えるための考え方を、最新の医療情報をまじえながら考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Humbaba
9
人は生きている以上必ず老いる。今まで自分を育んでくれた親であっても、その事実に変わりはない。医療の知識があればその後どう展開するかの予想はついたとしても、だからといってどうすればいいかが全てわかっているわけではない。人間では手の出しようのない問題も有り、知っていても何もできないというのは忸怩たる思いがする。2016/07/22
Humbaba
9
その人が本当に望んでいるものはなにか。それを推察することは非常に難しい。たとえ一度決断を下したとしてもその決断が正しかったという保証を得ることは難しい。自分の両親という最も近くにいると言っても過言ではない相手であっても、その望むところというのを明確にすることは難しい。2013/12/06
日向夏
6
読んでも、よしこうしよう!という明確な到達点には至らない。それだけ難しく、悩ましい問題。物が食べられなくなったら、生物として潔く終わるのが良いとは思うが、なにせどういう事態になるのかわからない。元気なうちに、よく話しておくことが肝要なんだろう。それも難しいが…。2018/06/02
ココアにんにく
5
お医者さんでも、肉親の延命治療をどこまで行うか逡巡されている。高齢者や末期と違って、難病や慢性疾患での急変時にはどう対応すればよいのか?考えてしまう。2017/02/04
ako
4
誰もが通る道でとても難しい。「口から食べられるかどうかが判断の分かれ目」とは本当に最もな事と思う。分かりやすいことばで書いてあり読みやすかったです。2017/07/24




