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内容説明
16世紀の金融バブルがもたらした「世界史の大転換」期とあまりに酷似している現代社会。16世紀同様に、「長期デフレ社会」「先進国と新興国の逆転」は起こるのか。さらに、社会の不安定要因ともなっているエネルギーや食料価格の高止まりは続くのか。各分野を代表する識者たちが歴史の中に答えを見出すとともに、「次なる社会システム」の行方について論じる。
目次
第1章 資本主義―金融バブルが引き起こす世界史の大転換
第2章 エネルギー問題―シェール革命が進むも原油価格の大暴落は起こらない
第3章 食料問題―これから世界は食料の「過剰な時代」へ突入する
第4章 世界システム―金融化した資本主義と第二の近代
終章 近代資本主義の終わりと次なる社会システムについて
座談会 「長い二一世紀」において、資源、食料、資本主義はどこヘ向かうのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
9
わが国が鎖国した17世紀はオランダが世界最強国。スペインから覇権を受けた国土の小さなオランダは国際貿易で得た莫大な富の投資先を見つけられず、経済が金融化。チューリップ・バブルもこの頃起きた。国内に余剰資金が溢れ、投資先がなくなり、資金が滞留、17世紀後半からデフレになり、金利が低下し続けた。一方、戦費調達のために国債を発行、金利が上昇すると財政再建のために増税。それにより国内の物価と賃金が上昇。産業は競争力を失い、覇権は18世紀後半から海上交通を支配したイギリスへと移った。やはり歴史は教訓の宝庫だ。2013/10/23
氷雨@exice
3
現代は「マネーの過剰」と「モノの過剰」が同居する「過剰の時代」である。低金利で生まれた過剰マネーはめぼしい投資先を失いフロンティアを求めて新興国や商品市場に流れ込む。金融バブルの崩壊が実体経済に悪影響を及ぼすのを怖れ各国とも利上げに踏み切れず、マネー規模は縮小しない。「緑の革命」以降の歴史的な「食料過剰の時代」による食料過剰、工業製品過剰は生産面からデフレを牽引している。2013/10/05
Mitz
3
主題の資本主義、そして副題のエネルギー・食糧・国家は空気みたいなもの。日々の生活の中で意識することはないが、確実に我々の生活の根幹を成すものである。政治、TPP、シェールガス革命など、何を語るにも結局これらの問題に集約されるではないか・・・。いつも意識するような事ではないが、少しでも知っているのと全く知らないのでは、見える世界も変ってこよう。戦後半世紀は、無知・無関心でも良かったかもしれないが、今後半世紀は国境や時代を超える、スケールの大きい思考がなければならないと思う。そういう意味で、気づきが多かった。2013/06/18
hika
2
金融化した資本主義は、デフレとバブルを産み出し続けながら、実体/非実体世界の全てを金融商品に変えていく。それは、不動産からwebそしてエネルギーや食糧も。そこでは、価格が実体の需給バランスではなく、金融の力学によって決定される。資本主義が必然的に行きつく先としての金融資本主義の歴史的系譜と現在が確認できて良。2013/11/15
kunchan
2
「世界史の中の資本主義」(水野和夫ほか)読了。過剰なマネーが健全な投資先を失い、投機による自己増殖を繰り返す「資本主義の金融化」が進む現代。金融化はバブルを生み、やがて停滞するという資本主義の宿痾を乗り越えることができるのか…。資源や食糧相場も投機的動きに左右されているが、実はエネルギーも穀物もかつてないほどの余剰が生じているという。「過剰な時代」を金融、食糧、エネルギー、社会歴史学それぞれの第一人者が分野を超えて論ずる。今度仲間の勉強会で使う課題図書なんですが、これは面白いです。2013/08/27