内容説明
科学技術は日々進歩している。消費社会もまた、新しい「技術」や「便利」を生み出し続けなければならない運命にある。「進歩」には益もあれば害もあることを知っていても、我々はそのゲームから降りることはできない。「便利」と「幸福」の間の、ほどよい着地点はどのあたりにあるのか――気鋭のサイエンティストがさぐる。
目次
第1章 欲望と、技術の進歩
第2章 三月一一日の刻印
第3章 原子力ムラへ架かる橋
第4章 「便利」は共同体を崩壊させるのでしょうか?
第5章 何もなくて豊かな島の理由
第6章 不快なものの必要性
第7章 既得権益と透明性
第8章 パッケージ化した科学技術の外側
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
25
便利は、技術だけでなく、 社会が技術の価値を決める(33頁)。 第1章の最後のところだが、 社会が基本となって技術を決め、 便利が規定されていくようだ。 ほとんど売れずに残っている財は 逆に、生活に不便では? と 疑問を投げかける(39頁)。 そうかもしれない。 コンビニも多いが、 それ以上に、 どんな田舎の利用するのか、 という自販機は多すぎる(40頁)。 2014/05/12
さきん
17
科学技術は日々進歩している。消費社会もまた、新しい「技術」や「便利」を生み出し続けなければならない運命にある。「進歩」には益もあれば害もあることを知っていても、我々はそのゲームから降りることはできない。「便利」と「幸福」の間の、ほどよい着地点はどのあたりにあるのか2016/02/15
Humbaba
14
例え科学的には問題がない事がわかっていても、実際には問題があるのではないかと不安になる人もいる。また、問題がないと言ってもリスクが全く無いわけではない。そのリスクを回避しようと行動すれば、また別のリスクと直面することになる。大切なのは自分にとってはどこにリスクが大きいと判断するかであり、それによって採るべき行動は変わってくる。2016/11/20
nizimasu
6
タイトルは我が意を得たりと思ったんだけど、3.11前後を挟んだこの本の執筆でスタンスは大きく変わる。当初のパソコン云々の話から科学技術と意思決定の問題。日本の社会の既得権益や中間層の不在など組織的な部分にメスを入れていく。実は日本論であったりする本で意外な論理の展開が楽しめた。これは最近の日本人の忘れやすさとのテーマとも繋がる話で実は意外にもじっくり読まさせていただきました2013/08/17
rigmarole
4
印象度B。科学者という専門家でありながら市井の常識人としての視点を持った著者のスタンスは、バランスが取れていると思います。しかし、各意見に対する著者の賛否で議論を進めているためか、どうも背筋の通った、冴えたものを感じないのは私だけでしょうか。正論というのは大体にしてモヤモヤしたものなのかもしれませんが。ただ、幅広い分野から取材しており、ためになることは多かったです。明治以降の日本は異論への許容度が低いために、環境の変化に対応するシステムの柔軟性を損なっている、という最終章の主張には大いに共感しました。2013/08/04




