内容説明
釣り船禁止令でお咎めを受けた朝湖は三宅島へ島流しに。その間赤穂浪士の討ち入りがあり、采女は敬愛する義父・上野介を失う。そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる! 豪華登場人物で描かれる、元禄の歴史と人間ドラマ! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
59
「生類憐みの令」のせいで様々な束縛に苦しみ、その息苦しさに江戸の町民たちがあえいでいたからこその赤穂浪士の敵討ちの熱狂。だが、この敵討ちはあまりにも片手落ちな気がしている私には、津軽采女をはじめとする吉良側のもどかしさ不本意さにとても共感した。命を賭して海に向かう釣りバカたちの「狂」と、死の間際まで自分の句を吟味し続けた芭蕉の「狂」と、赤穂浪士たちへの江戸町民の「熱狂」。元禄という特異な時代が見事に描き上げられ、最後に残るのは、そこはかとないもの悲しさ。2017/07/26
優希
48
ようやく物語が見えた気がします。赤穂浪士で父・吉良上野介を失う采女。綱吉が相次ぐ禁令を出すのに、どれだけ禁止したいことがあるのかと思わずにはいられません。滑稽さもありますが、ロマンもある、そんな物語だと思います。2021/12/27
優希
47
下巻になり、物語が見えるのですね。多々の事故が起こる中で、釣り人たちの運命に引き込まれずにはいられませんでした。愚かさと気高さが釣りの世界で描かれるのが面白かったです。2022/04/03
あすなろ@no book, no life.
33
上下巻共に一気読み。ただ、登場人物はほぼ不幸である。その要因である生類憐みの令・赤穂事件を挿話としてうまく書き込んでいる。登場人物は皆、生きている間の刹那刹那において楽しみすぎなのか。ただし、采女のみ不幸を囲っている。しかし、彼においても釣りが救いの人生を送る。その他、紀伊国屋文左衛門や朝湖(英一蝶)など、酔狂に生きる風情が描かれ、興味深い。夢枕さん、楽しく執筆したんだろうな。主人公が誰かがイマイチ曖昧だが、そのようなことは関係なく楽しめた。賞を複数受賞しているのも頷ける。大好きな北方謙三氏の解説にも納得2014/02/27
SORA
21
時を経て、生類憐みの令が廃止されても、釣りを楽しんだ若かりし頃のメンバーは揃わず、あの時代が帰ってこないことに切なさを覚えた。2014/08/04
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