内容説明
時は元禄。旗本、津軽采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。やがて、義父・吉良上野介の計らいで「生類憐れみの令」を発布した、将軍綱吉に仕えることになるが・・・。同じ頃、絵師朝湖と俳人基角は江戸湾で土左衛門を釣り上げた。果たしてその正体は? 釣りの泥沼から覗く元禄時代。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
60
時は元禄、徳川綱吉の「生類憐みの令」はさらに厳しさを増して「釣り船禁止令」なるものまでが発令された。人よりも、犬や魚、蚊の方が大事とされたデストピアのような時代、目の前に広がる海に漕ぎ出すことこそ何よりも楽しみという釣りキチたちは、どうやってその不遇をしのいでいくのか。徳川綱吉、紀伊国屋文左衛門、水戸光圀、吉良上野介、松尾芭蕉、宝井其角、絵師多賀朝湖と錚々たる登場人物たちがなんとも魅力的。綱吉のエスカレートする狂気とその支配下にある人々の動向が気になりつつ、下巻へ。2017/07/25
あすなろ
25
夢枕さん、ムチャクチャ楽しんで書いたのだろうな~。目に浮かぶようです。読んでる方も楽しかった!下巻、早速読みます!2014/02/25
Kira
20
電子版で再読。釣りびとたちの目から見た「生類憐みの令」と、元禄時代の狂気を描く。金の使い方を見る限り、紀伊国屋文左衛門はあまり賢いひとではなかったような気がする。2025/07/19
SORA
20
江戸時代の釣りを題材にしている小説って珍しいと興味を持ち、読み始めた。津軽采女の義父となる人ってもしや!?と思ったら、やはりそうらしい。采女が出世するあたりから、人間模様が面白くなるが、生類憐みの令の取り締まりも厳しくなり、釣り仲間らがどうなっていくのか気になる。2014/07/30
fukumasagami
17
「大え魚をかけて、悦んでいる最中に逝っちめえやがったんだ、あの爺い……」 朝湖の声が、さらに低く、小さくなった。 富士が、もう影になっている。 西本願寺の大屋根も、もう、切り絵のようだ。 沈黙の中に、舟を叩く波の音と、櫓の音だけが響いている。 「なあ、其角よう……」 朝湖が、人恋しそうな声で言った。 「何です」 「あれも、悪いくたばり方じゃあねえな……」 ぽつりと、朝湖は、小石のようにその言葉を吐き出した。2013/06/13
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