内容説明
古来よりひとは人知のおよばぬ禍事を鬼の祟りとし、鬼はそれを恨んだ。時を超え、姿を変え、魂を狙う鬼と柳生十兵衛の攻防(鬼柳生)、古城に巣食う鬼の罠にはまった三人の男女の運命(幽霊城)、鼠小僧と勝海舟の父・小吉の意外な親交と鬼退治(熊と鼠)ほか、一条戻り橋から始まったひとと鬼との死闘を描く、珠玉の鬼譚5編を収録。息詰まる、前代未聞の時代サスペンスホラー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
34
京都一条戻り橋から話は始まる鬼(妖怪)が人間にとりつく短編5編、1話は平安時代、渡辺綱が「鬚切の太刀」で大江山鬼退治、5話は江戸時代鼠小僧と勝小吉(勝海舟の父)が登場し小吉が「鬚切の太刀」で鬼を退治する。2話から4話までは刀とは関係がないが、ショック・恐怖・戦慄が無く面白く読めて作品。2013/12/03
Yu。
21
古くから伝わる魔物による恐怖が描かれる5つの怪談集。時代ものだけあってシンプルなのだが歴史上の人物が加わるとあらまあ不思議、中身が濃く感じてしまう。。。お気に入りは、第一話 「大江山」で源頼光や四天王らによって退治された鬼が時代を超えて勝海舟の父と鼠小僧の前に現れる「熊と鼠」。復讐心に燃える主人公の身に起こる因果なループがサスペンスフルに彼女を襲う「因果花」。これは内容よりも柳生十兵衛が只々かっこいいというだけで「鬼柳生」… 多分この敵は「因果花」 「幽霊城」と同じかも。。。2016/07/02
マサキ@灯れ松明の火
14
最後の「熊と鼠」が一番のお気に入り♪第1話の大江山の鬼たいじ…ここより始まりし…鬼女の魂のいく年月か…時に女に、時に男に…取りつき、操り…血にまみれ、戯れる…未来永劫の命を生き…魔界に時あらず…再び現世に現れしは、何時なるか…?それとも……2013/07/27
木冬
2
戻り橋に住む「鬼」に纏わる短編集。一話ごとに話は繋がっていないものの、元凶である「鬼」は同じ鬼なのか……それとも、人の心が戻り橋に鬼を呼ぶのか。助かったり、助からなかったり、助かったけど報われなかったり、なんとも読んでいる間は何も思わないのに後から話の一つを思い出してゾッとする。ううん、こういう「ふとした瞬間に思いだして」ゾッとするのが日本のホラーだよなぁと一人で納得してしまいました。時代は徐々に現在へと近づいている。もしかしたら、この「鬼」は現代のどこかにもいるのかもしれない。なんて、考えたりして。2014/06/01
にゃるび
2
鬼にまつわる妖怪退治もの。それぞれが独立していますが、根本の鬼という存在が繋がっているのが面白かった。 『因果花』と『熊と鼠』がお気に入りです。2013/07/31