内容説明
凍てつくオホーツク海に突き出し、人も寄せ付けぬ原生林に覆われた極寒の地・知床。アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に最後の夢を託し、追われるようにやってきた開拓民の少女。物心ついたときにはここで暮らしていたとわは、たくましく生きる。今日から明日へ、ただ生き抜くことがすべてだった。中央公論文芸賞受賞。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
462
たどり着いた先は、アイヌ語で「地のはて」を意味するという知床半島の中ほどにあるイワウベツ。主人公とわにとっての物語の最初の地がここであった。次いで茶志骨。大正期の物語である。その頃(おそらくはその後も)、北海道に渡っていった人たちは凄まじいばかりの労苦があったことだろう。そして彼女にとっては想像さえできなかった大きな町、小樽へと物語の場は移っていくが、私たち読者の多くは、そうした北海道に強く共感の想いを馳せながら、とわに寄り添い、感情を共有しながら読み進めていくことになる。それは作家自身の想いでもあった。2021/07/22
相田うえお
118
★★★★☆19064 中央公論文芸賞受賞作。読むのが勿体無くて積み本にしたまま十数年(冗談、数年ってとこ)とうとう読みました!時代背景は大正から昭和。金儲けに失敗し借金取りに追われる夫と共に妻,子供(兄妹)の4人家族(メインキャラは妹の とわ なのかな)が開拓移民になって北海道に移住するところから話は始まります。これはまじ凄い!『乃南先生版おしん』か?と、唸りたくなる様な出来事の連続で目が離せません。タイプ的には桜木紫乃さんの『ラブレス』系と近似ジャンルなので、そういう話が好みならおススメ!では下巻へ。2019/07/15
いつでも母さん
79
再読。感想は下巻で。2017/07/22
ミエル
52
個人的には著書のイメージとは違った作品だと思ったが、やはり上手い、吸引力高すぎ。明治末期の開拓民の娘とわが賢く親和性が高いのが魅力だろうな。言いたいことも言うけど空気が読める、こういう人はいつの時代もどこでも(国内限定)生きていけるよね。とわの柔軟性が良い。下巻へ。2020/05/18
ミーコ
51
この時代に生まれたばかりに、堪え忍ばなければならい とわ の この先が気になります。 方言が読みづらい所は有りますが 引き込まれる文章で、下巻が早く読みたいです。2014/07/17