内容説明
ヴァイブレータ――振動するもの。あたしの中身は震えつづけている。アルコールと食べ吐きで辛うじて自分を支えているライターのあたしは、コンビニで知り合った男のトラックに乗りこみ、航路の道連れとなる。肌の温もりとセックス、重ね合う言葉。四日間の「旅」を描く、痛いほどに切実な、再生の物語。『東京プリズン』で母と娘の物語を完成させた赤坂真理の代表作。映画も多くの賞を受賞。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
55
先に観た映画を偏愛するあまり手をこまねいていたのですが、ほぼ原作に忠実だったことが分かりました。よい思い出としては廣木隆一監督にお目に掛かる機会があった際に「大好きですヴァイブレータ」と申し上げたところ、「病んでるな〜キミは」と言われたことです。2015/10/19
James Hayashi
27
第120回芥川賞候補(受賞は平野啓一郎の日蝕)。入りづらい出だしとストーリー性は疑問符。しかし無線やトラック業界の専門用語など、あまり多作品では見た事ない言葉や、感情やエッチの表現方法が人に無いものが有り興味深い。読者を選ぶと思うが、個人的には好きである。タイトルの意味するところは?この作品は映画にもなり寺島しのぶ主演。2019/06/11
ちぇけら
15
「恋人とセックスするとき、おしゃべりするって感じってあたしは思ってた。体を使ったおしゃべりって。今はもっとダイレクトに、摂取するって感じになってる。粘膜で、ペニスだけじゃなくて彼のすべてに吸い付いて、食べる。膣の粘膜がひっくり返されてそれが体のすべてで表で裏で、とても敏感で臆病なのにとても貪欲。」素敵なリズムが続く物語だった。アルコールと食べ吐きで生きているライターの主人公がコンビニで知り合ったトラック運転手のトラックに乗り込み身体を重ねる。「」つきでしか主体を守れない自分の内側から起こる震えに貫かれた。2017/09/28
しゅえ
6
映画が大好きで、遅まきながら原作に手を出す。いやあ、すっっっごい読みにくかった。いちいち突っかかってしまってなかなか読み進められないという新鮮な体験。内容どうこう以前に、この作品の(もしくは作者の文章の)リズムと合わなかったんだろうな。2019/02/04
五月のつつじ
3
結局何が言いたいんだ…。ってなった本。言葉が崩れることが有ったとしても、そこまで生活態度を落とす必要があるの?と主題を疑いたくなる。文体はテンポ良く読めたけど内容は好きになれなかった。2016/05/15