内容説明
高校生でメジャーデビューを果たしたものの、バンド解散後は売れないギタリストとして燻っていた太郎。大学三年の秋、慌しく動き出す周囲の言動に違和感を覚えながらとりあえず始めたシューカツだったが……。「元有名人」枠などどこにもないというキビしい現実の中、太郎は内定獲得に向けて走り出していく。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
257
就職活動と言うものは、人生の根幹となる大イベントの一つで、ドラマに向いていますね。心情や信念。そんな所を内省する事になるんだね。就活生の悲喜交々。それなりに分かりますけど。本人達は、熱量は様々なのかも知れないけど、真面目に作戦、計画を立てて臨んでる。それを俯瞰してみる読者からは、少し冷ややかな視線で滑稽にも映るんですね。最後の方は少し急ぎ足になってしまって。どう言う経緯又は意図でその状況が生まれたんだ。それからどうなったんだ。って事を残すのだけど、どして何でしょう。作者さんに思惑があったのでしょうか。2026/07/16
ケイ
109
高校生の時に売れたギタリストは、気が付くと大学三年も後半の一発屋だったシューカツする人となっていった。最初はノリで始まり、なめてかかったすかした感じから、だんだんと真剣に内定をもらうために取り組み、自分の人生そのものを見直していくようになる主人公の変化が、とてもよく描かれている。朝井リョウ「何者」を読んだ時も思ったが、昨今の就職活動は、すスマフォを持っていないと始まらないようだ。常に情報をチェックし、WEBで申込みをし、時には合否までわかってしまう。私ならこのストレスに耐えられず、資格試験に走りそうだ。2015/09/13
優希
98
メジャーデビュー経験のあるギタリストの就職活動物語でした。バンドの解散後もギタリストにこだわっていたのに、周囲に流されるように、違和感を感じながら始める就職活動。なかなか内定がでないのは就活をしていれば普通にあることでしょうが、元々名の知れていた人が「平凡な社会人」になることができるかどうかに疑問を感じますが、この点がかつてとのギャップとなって面白いところでした。ノリで始めた就活が、徐々に自分の人生を見つめるようになっていく様子の描き方が見事です。所々の冷静な目線があるのが好印象でした。2015/09/19
★グラスハート★
67
2.0 就活の話だったので、朝井氏の「何者」みたいにドロドロ部分が描かれるのかと思ったら、のんびりした雰囲気があった。 高校生でメジャーデビューした太郎が主人公で、一般人として就職戦線に戦いを挑んでいくのだが、思った程、緊張感もなく切羽詰まっていない。 もしかすると私はESも就職活動といえる程のものを経験せず、資格優先的な職種についているから感覚が違うのかもしれないなぁ。 機会があれば、もう一作は読んでみたい。2017/12/17
toshi
66
芥川賞作家による2011年の長篇作。就職活動の、ある意味過酷で、それでいて滑稽な場面が鋭い筆致で描かれています。就活というと直木賞の傑作、朝井リョウ氏の「何者」を想起しますが、「何者」が就活を通した人間模様のどす黒さを表現しているのに対し、本作は就活の割り切れなさややるせなさに主眼を置いているように思います。終盤、主人公の太郎に感情移入してしまいました。2025/01/30
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